体調を維持するためには、毎日の睡眠は欠かせない。ここでは、睡眠にまつわる三つの豆知識を紹介する。忙しくなる前にまとめて睡眠を取っておく“寝だめ”は果たして有効なのか。 身体にとって、朝は何時までに起きるのがよいのか。正確な知識を身に付けて、睡眠の改善に役立てよう。

睡眠知識1 コタツに入ると眠くなるのはなぜ?

 人は全身もしくは体の一部分を温められると、自然に手先・足先などの末梢血管が膨張して熱を放出し、体温が急に1度ほど下がります。このとき体温が急に下がることによって、眠気が生じると同時に、睡眠ホルモンの分泌が促され、睡眠状態に入っていきます。コタツに入ると眠くなるのは、この仕組みによるものです。室温の高い会議室に入ったり、就寝時にアンカで温まったりしたときも、同じ作用が起こります。

 逆にいうと、眠くなるときはその前兆として手先・足先が熱く感じられます。これは、自分の体の状態を知る手掛かりになります。

 体を温める効果があるのは、コタツやアンカだけではありません。食事や運動、入浴でも体が温まり、その後に体温が急に下がることによって眠気が生じます。遠藤医師によれば、食事は就寝の3時間前、運動は2時間前、入浴は1時間前にそれぞれ済ませるのが効果的です。

睡眠知識2 多忙期に備え“寝だめ”をしておくべきか?

 まずは問題です。来週からプロジェクトが猛烈に忙しくなります。この週末は十二分に睡眠を取れるチャンスです。このとき、いつもより長い睡眠を取り、“寝だめ”をしておくべきでしょうか。

 答えはノーです。多忙期に備えて、寝だめつまり睡眠時間のストックをしておくことはできません。翌日の日中に眠くならない程度の睡眠を取れば、あとはどれだけ長く寝ても同じです。それどころか下手に長い睡眠を取ろうとして、いつもより早く寝ると、夜中に目が覚めて体内時計が乱れかねません。睡眠は適度に取るのが肝要です。

 ただし睡眠不足(睡眠負債)は、チャンスを逃さず積極的に解消すべきです。今は睡眠不足の状態だなと感じたら、早く寝て多忙期に持ち越さないようにしましょう。