2006年に米国でサービスが始まり、2008年に日本語版が登場したTwitter(ツイッター)は、今や日本に完全に定着した感がある(写真1)。全世界の月間利用者数(MAU)は3億2000万人に上る。今回はTwitterを取り上げ、その特徴や今後のビジョン、最新の状況やサービスなどを解説する。本記事の執筆に当たっては、ツイッタージャパンのHead of Brand Strategy渡辺英輝氏に監修を依頼した。

Twitterの特徴、四つの軸

 Twitterのサービスには四つの軸がある。これらは従来のインターネットサービスになかったものであり、この四つを理解するとTwitterがユーザーに受け入れられている理由がよくわかる。

写真1●2006年3月ジャック・ドーシー氏がTwitterの初期モデルを考案し、3月21日に初ツイートした
写真1●2006年3月ジャック・ドーシー氏がTwitterの初期モデルを考案し、3月21日に初ツイートした
出所:https://about.twitter.com/ja/company/press/milestones
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(1)ライブ/リアルタイム性

 Twitterの最大の特徴が、まさに今起きている事態を即座に知らせたり知ったりできるライブ性やリアルタイム性だ。タイムラインと呼ばれる画面にフォローしている人のツイートやリツイートが時系列順にリアルタイムで次々と流れていく。自分のツイートも、このタイムラインにツイートされ、流れていく。情報を共有することもリアルタイムで可能だ。

 サッカーのゴールシーンで、試合を見ている人たちがさまざまな応援を一斉にツイートすることができる。あるいは地震発生時、震源地情報などをタイムライン上で即座に知ることができる。

 2014年にはアカデミー賞に関するツイートが33億件のインプレッションを達成。このツイートがそれまでの記録を更新して最もリツイートされたツイートとなった。

(2)パブリック性

 投稿文のオープン性も大きな特徴だ。Twitterのサービスを利用してツイートされた投稿は誰でも見ることができる。これは会員だけにしか閲覧できないSNSサービスや、Facebookとは大きく異なる。このパブリック性によって、文字通り情報の社会性が生まれる。

 例えば東日本大震災では電話が不通になり、代わってインターネット通信が脚光を浴びた。中でも特にTwitterによる情報共有や安否確認の存在感が際立った。今年も東日本の豪雨で鬼怒川の堤防が決壊した災害で、被害者状況の把握にTwitterが役立った。

 2009年1月、US Airwaysの飛行機がニューヨークのハドソン川に不時着した。この様子がTwitterでいち早く共有され、一般のマスメディアが事件を知る前に現場写真が広まった。

 Twitterは一つのインターネットサービスとしての存在を超えて、「情報インフラ」としての性格を帯び始めたと言える。災害情報のような緊急時のものから、ニュース、スポーツ、娯楽、生活情報にまで多岐にわたる分野でだ。Twitter上に流れてくる情報は世の中とシンクロしており、Twitterを見ていれば世の中がわかるとも言える。

(3)会話(カンバセーショナル)性

 Twitterの投稿は140文字という制限がある。しかしその制約により投稿がコンパクトになり、他者とのやり取りが会話調で進みやすいという利点が生まれた。この会話(カンバセーショナル)性もTwitterの特徴である。