2日め午後はテレワーク、モバイルワーク、ペーパーレス化、フリーアドレスなど、自治体職員のワークスタイル変革の取り組み方と課題について議論が交わされた。

 初めに、総務省行政管理局が2015年1月から試行的に取り組んでいるフリーアドレス制を軸としたオフィス改革の状況を、行政情報システム企画課の加藤彰浩課長補佐が報告。宮崎県総合政策部情報政策課の戸高広信課長補佐からは「フリーアドレス制に伴い、部署の電話の問題をどう解決したか」と質問があった。

 加藤氏は、「総務省は内線通話にも利用できるPHS端末を個々の職員に配布しており、普段は外線通話もPHS端末で受け答えしている。固定電話に関しては、代表電話番号用のPHS端末を導入してテーブルに置き、簡単に移動できるようにしている」と答えた。

フリー席だと課長から離れる?

梶本 出氏
梶本 出氏
兵庫県 企画県民部情報企画課 副課長
山住 健治氏
山住 健治氏
徳島県 経営戦略部情報システム課 専門幹
森本 登志男氏
森本 登志男氏
佐賀県 最高情報統括監(CIO)

 鳥取県の田中氏は、2015年に始めたテレワークによる在宅勤務について、「思ったほど利用が進んでいない。自宅で職務に専念できるようにする環境づくりの工夫はあるか。また、勤務の管理や内容把握はどうしているのか」と質問した。

 加藤氏は「なぜ家にいるのかと家族に言われた職員もいたので、家族の理解は必須だ。職場と同等の環境でやることになっているが、現状は個人に任せている。テレワーク前日に業務内容の報告を出して、当日終了後に業務日誌を上司に送付するだけで、四六時中監視する形態はとっていない。ルールで縛り過ぎると、面倒がって誰もテレワークをやらなくなるし、管理者の負担も増える。今は、まずやってみようという段階であり、条件は今後整理したい」と回答した。

 熊本県企画振興部交通政策・情報局情報企画課の島田政次情報企画監からは、「フリーアドレスで、課長がそばに来たら、職員が嫌がって逃げたりしないのか」という率直な質問があった。加藤氏は「職員約50人が対象になっているが、フリーというよりはグループアドレスで、同一業務の職員が固まって座っている状態だ。それによって課長の場所も何となく決まっている」と答えた。課長の近くには、総括係が集まることになるという。

 既にフリーアドレス制を導入している自治体からは、「行政改革推進室で導入しているが、課長は固定の机がある」(岡山県県民生活部の眞田政幸情報政策課長)、「商工労働局で50人を対象に導入しており、課長の席は決まっている」(広島県総務局業務プロセス改革課の村河亮利主査)との報告があった。