それでは、個々のセッションの内容をご紹介しましょう。LibreOffice Conferenceの発表は以下のようなジャンルに分かれています。

  • 開発トラック
  • NLP(ネイティブ言語プロジェクト)
  • コミュニティ・認定トラック
  • マイグレーション・UX・マーケティングトラック
  • 品質保証トラック

 一番活発なのはやはり開発トラックなので、まずはこのトラックからいくつかピックアップします。

開発が進むLibreOffice OnLine、Androidなどの展開も

 開発トラックで目を引いたのは、やはり年内テスト開始を目指して鋭意開発が進んでいる「LibreOffice Online」(LOOL;ロール、と発音されていました)についてのものです。

 CollaboraのTor Lillqvist氏による「LibreOffice On-Line server --Initial implementation details--」という発表は、タイトルの通りLOOLのサーバーサイドの実装についてのものです(写真1)。

写真1●LibreOffice On-Line Serverのトークを行うTor Lillqvist氏
写真1●LibreOffice On-Line Serverのトークを行うTor Lillqvist氏
(撮影:榎 真治)
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 LOOLサーバーは、現状Linuxでのみ動作しています。各セッションごとの描画を行うプロセスがそれぞれ独立に起動し、そのプロセスが「LibreOffice SDK」というインタフェースを通じてLibreOfficeそのものを呼び出し、表示用のビットマップをタイル形状で得て、それぞれのタイルビットマップをPNG形式でクライアントに渡す、という実装になっています。

 セキュリティ面にも考慮されており、各レンダリングプロセスは軽量コンテナ(chroot jail)で分離されています。

 ポイントはLibreOfficeの描画エンジンがそのまま使われていることです。デスクトップ版のLibreOfficeと全く同じ表示になることが期待できます。この点、2014年のカンファレンスレポートで紹介した「WebODF」とは異なります。