投資家ウォーレン・バフェットはゲーム理論を応用した「バフェット戦略」を考案した。ここではその戦略を解説するとともに、同じくゲーム理論の考え方を活用した「賢い豚戦略」についても解説したい。いずれも創造力向上に役立つこと間違いない。

ウォーレン・バフェットの「バフェット戦略」

 世界の大富豪として名高いウォーレン・バフェットは米国の著名投資家だ。著名投資家というとどこか冷酷なイメージがつきまとうがバフェットはそうではないそうだ。魅力的な人物として多くの人から慕われている。

 バフェットは1930年にネブラスカ州オハマに生まれた。のちに父親が下院議員に就任することでバフェットはワシントンDCで暮らす。その後、ペンシルバニア大学を中退し、故郷のネブラスカ大学を卒業する。また、大学院はハーバードを目指すも失敗し、コロンビア大学大学院に入学している。

 卒業後、父親の証券会社やコロンビア大学時代の恩師の会社で働いて資産運用の腕を磨き、1965年にニューイングランド地方の繊維会社バークシャー・ハザウェイ社の経営権を手に入れる。1967年には同社の拠点をオハマに移し、投資会社へと衣替えをはかり現在に至る。同社は現在もオハマを拠点としており、バフェット自身もオハマで暮らしている。そのためバフェットのことを人は親愛の情を込めて「オハマの予言者」や「とうもろこし畑の資本主義者」などと呼ぶ。

 バフェットの投資哲学はあまりにもシンプルだ。企業が毎期公表する決算報告書を丹念に読み込み、割安な銘柄に投資するというものである。また短期的利益ではなく長期的利益を狙うのもバフェットのスタンスだ。そのためブラック・マンデーのような市場がパニックになったときでも、バフェットのポートフォリオは痛みが少なかったことで有名である。