この連載では、仕事で勝てる「ビジネス文章力」をテーマにしている。良いビジネス文章を書きたいなら、単に礼儀作法を知っているだけではダメである。ビジネススキルを向上させること、これが良いビジネス文章を書くための条件である。

 当文章治療室では、筆者がこれまで実務現場で経験してきたケースを使い、さまざまな文章力不足を「病」にたとえ、治療というコンセプトで、スキルアップの具体的方法について紹介する。

 これまで連載に対して、は読者から「内容が簡単すぎる」「新人向けレベル」「分かり切った内容で参考にならない」などの意見もいただいた。しかし筆者の25年以上のビジネス経験から言って、ここで紹介するレベルの文章を書けない中堅社員、管理職は少なくない。

 ここで紹介する「基本レベルの文章を書けること」、「それを部下や後輩に正しく教えることができること」──これが本連載の目指すところである。「こんなの簡単」と軽く考えないことが、ビジネス力の向上につながる。

 この連載では、前回までで15回分の文章疾患治療症例を紹介した。今回は内容を変え、これまでのまとめとして、筆者が考える「ビジネス文章の課題」と、その治療方法の考え方を説明したい。