ウイルスほど甚大な被害を与えるものではないが、煩わしくて、対処も面倒なのが「迷惑ソフト」だ。その典型的な2種類について、その実体を見てみよう。
「こんなソフト、インストールした覚えがない」「ネットからダウンロードしたソフトの料金請求画面が消えない」――。
今やパソコン用ソフトも、ネットから簡単にダウンロードし、インストールできる。しかしそうした中には、「迷惑ソフト」と呼ばれる厄介なソフトもある。
迷惑ソフトとは、ユーザーが望まない動作をするソフトウエアのこと。形式的にはユーザーの承諾の下にインストールされるので、セキュリティ対策ソフトなどでは対処しにくい。
別のソフトに便乗する
迷惑ソフトのうち、消費生活センターや、セキュリティ対策ソフトのサポート窓口に多く相談が寄せられるのは、主に2種類だ(図1)。
1つは、ほかのソフトに便乗する形でパソコンにインストールされるソフト。Webブラウザーのアドオンとして動くものや、ホームページ設定を変更してしまうものもある。
これら便乗型のソフトは、無償で配布しているソフトの収益化策としてバンドルされているケースが多いようだ。ただし、ユーザーが喜ぶとは限らない(図2)。バンドルされたソフトそのものは便利でも、ユーザーが望んでいなければ「迷惑」と思われても仕方がない。
もう1つは、ネット広告でパソコンの不備を指摘してインストールさせて、購入を求めるソフトだ。パソコンに脆弱性があるかのような広告を表示し危機感をあおるものもあり、トラブルが増えている(図3)。
こうした迷惑ソフトは、相談件数が特に多いようだ(図3)。トレンドマイクロの岡本勝之セキュリティエバンジェリストは、「ウイルスより多く、毎月300件を超える問い合わせがある」と話す。これらに惑わされないようにしたい。