「何とかしてユーザーにクリックさせたい」――。インターネットを利用していると、こうした考えのWebサイトに行き当たることがある。
図1は、フリーソフトやシェアウエアのソフトを提供するWebサイト。いざ目当てのソフトをダウンロードしようとすると、Webページに複数のダウンロードボタンが表示される。本物のボタン以外を押すと、別のソフトのダウンロードが始まったり、見知らぬソフトの紹介ページが開いたりする。
メールやSNSでURLをクリックさせ、ユーザーを誘導するものもある。こうした「ワンクリック」を誘う手法は、どんどん巧みになっている。今や、クリック一つするにも安心できない状況にあるのだ。
ネット詐欺につながることも
こうした手法が、単なる広告ならまだよい。中には、ネット詐欺の被害やウイルス感染につながるケースがあるので注意が必要だ(図2)。
国民生活センターによると、全国にある消費生活センターの窓口に寄せられたアダルトサイトについての相談件数が、2014年度に初めて11万件を超えた(図3)。アダルトサイトにおける被害で多く見られるのが、クリックしただけで過大な料金を一方的に請求する、「ワンクリック詐欺」だ。
ワンクリック詐欺は今に始まった手口ではないが、相談者は後を絶たない。最近では、スマートフォンでアダルトサイトを閲覧してワンクリック詐欺にかかるケースも増えているという。
アダルトサイトなんて見ない、という人も安心できない。いつも利用しているWebサイトのネット広告をクリックしたら不正プログラムがダウンロードされる、という事件も起きている(図4)。
気楽に「次へ」をクリックしてソフトをインストールするのも危険だ。便利なソフトと思ってダウンロードしたら、いつの間にか見知らぬソフトもインストールされ、Webブラウザーの設定まで変えられた、といった経験はないだろうか。