テクノロジーの力で、スポーツの世界を変える――。最新のIT(情報技術)をフル活用すればそれが叶うと、革新に向けて果敢に挑む動きがあちらこちらで始まっている。プロチーム向けに試合で勝利できる黄金律を導き出し提供しようとするものもあれば、ハイアマチュア向けに腕前が加速度的に磨かれる究極の練習法を開発しようと試みるところもある。「スポーツ・イノベーション」の最前線を追った。1回目は本稿で富士通を、2回目はパナソニックを、3回目はソニーを取り上げる。

 10月16日から18日にかけて、千葉県内で開催された女子ゴルフトーナメント「 富士通レディース2015」。例年テレビ中継されるが、今年は異色の試みでゴルフファンの心を大いにくすぐった。受動的なテレビ中継には飽き足らないマニア層を狙って、主催者の富士通がネットを使って大胆な実験的なサービスを提供したためだ。

マニア心をくすぐった二つのサービス

画面●富士通は独自技術を使った実験的なゴルフ中継を今回行った。2種類のネットサービスは11月末まで楽しめる。
画面●富士通は独自技術を使った実験的なゴルフ中継を今回行った。2種類のネットサービスは11月末まで楽しめる。
[画像のクリックで拡大表示]

 「ネットを導線にして、ゴルフが持つもっと奥深くて素敵な世界へと消費者を誘いたかった。今までにない観戦の楽しみを一人でも多くのファンが知れば、ゴルフ界はもっと盛りあがる。そう考えた」。今回の取り組みを指揮した富士通総研の今村健執行役員は、よどみなく熱い思いを語る。同社は、富士通グループでコンサルティング事業などを手がけており、「富士通が持つ独自技術も盛り込んだからこそ実現できた」(今村健執行役員)と胸を張る。