これまで地味な存在で、学べる機会が少なかったBtoBマーケティングに脚光が当たっている。個人、企業を問わずモノの買い方が大きく変わり、マーケティング部門への期待値が、「いかにして売り上げをもたらす活動を企画・実行し、売り上げに貢献するか」へと変わり始めている。

 では企業は、売り上げにつながるマーケティング活動と、マーケティング部門の貢献を明確に測る手法をどう磨くべきなのか。「リードジェネレーション(見込み客を獲得すること)」や「デマンドジェネレーション(見込み案件を創出・発掘すること)」といった業務に携わってきたシスコシステムズの中東孝夫氏が、6話にわたって解説する。

 第1回は、BtoBマーケティングで活用するデータベースについて解説する。


 はじめまして。シスコシステムズでマーケティングを担当している中東と申します。

 本特集では筆者の経験を元に、どのようにBtoBマーケティングのプランを作ればよいか、また、既存のマーケティング活動を売り上げにつなげるにはどうすればよいか、について分かりやすく説明していきたいと考えます。ぜひ最後までお付き合いください。

 BtoBのマーケティングはこれまで地味な存在でした。マーケティングのビジネス書も、消費財をメインとしたBtoC向けの書籍が多く、BtoBのマーケティングについては学ぶ機会が少なかったという状況でした。また、BtoB商材を扱う企業のマーケティング部門は「セミナー・展示会の企画運営」や「カタログ制作」、「業界誌への広告出稿」が主な業務であることが多いと思います。しかしここ数年、マーケティング部門への期待値は、「いかにして売り上げをもたらす活動を企画・実行し、売り上げに貢献するか」に変わりつつあり、マーケターにも変革を求められています。

 筆者は、マーケティングの最初の経験として、BtoC企業(日用雑貨)の宣伝部としてテレビCMやダイレクトマーケティングを担当しました。その後、外資系IT企業のマーケティング担当としてさまざまな業務を担当してきました。2001年からは「リードジェネレーション(見込み客を獲得すること)」や「デマンドジェネレーション(見込み案件を創出・発掘すること)」といった業務に携わり、企業内でのBtoBマーケティングの立ち上げを経験する中で、さまざまな試行錯誤を重ねてきました。

 この特集では、こうした筆者の経験から属人的な要素(営業力やトークスキル、勘)に頼ることを可能な限り避け、「データドリブンマーケティング (データ駆動型マーケティング)」をBtoBで実現し、売り上げにつながるマーケティング活動の提案と、マーケティング部門の貢献を明確に測る手法について、以下の順に説明します。

  • BtoBマーケティングでのデータベースの重要性
  • BtoBでのセグメンテーションとターゲティングの実践編
  • 顧客予算と自社商材のポジショニング
  • 売り上げとアクションをもたらすリード管理
  • テレマーケティングに期待すべきこと
  • BtoBマーケティングの理想形