③ヒアリング対象者の人選

 ヒアリング対象者の人選の条件は,目的が「情報収集」と「合意形成」のどちらかによって異なる。

 「情報収集」であれば基本的に,関係する部署の業務全体を理解している実務的なリーダー,現場の社員,さらに決裁権を持つユーザーまで幅広くヒアリングする方がいい。

 一方「合意形成」が目的なら,ヒアリングすべきは関係するキーパーソンである。ただし,キーパーソンは社内規定上の決裁権を持つ人だけとは限らない。「決裁権を持っている人が,特定の部下の意見に基づいて決めているケースも少なくない」(IBM ビジネスコンサルティング サービス=IBCSの大竹伸明 パートナー)ためだ。逆に決裁権が形骸化していて,上司や他部門の管理職の了承がないと決められないケースもある。そのため形式的な決裁権をうのみにせず,実質的なキーパーソンを洗い出す必要がある。

 実質的なキーパーソンの特定は簡単ではないが,工夫次第で策はある。例えば,IBCSの大竹氏は「このままでは間に合わないと意思決定を強く迫ったときに,決裁権者が誰のところに相談に行くかアンテナを張って調べる」という。