AWSを安く使うにはコツがある。オンプレミス環境と同じように考えていては、コストが高くなる一方だ。PART4では、コスト削減に効果がある九つのポイントを専門家が解説する。

狙うべきは九つのポイント
サーバー乱立には要注意

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大量データは低冗長化ストレージへ
S3からRRSに変えると約2割のコスト削減

 S3は、高可用性かつ安価に利用できるオブジェクトストレージである。データの保存料金は、1Gバイト当たり0.033ドルなので、10Gバイトのデータを保存しても月額およそ30円程度だ。

 それでも1TバイトのデータをS3に保存すると、利用料は月額およそ4000円となる。保存するデータ量がTバイト級になると、無視できない金額だ。

 もし大量のデータをS3に保存するなら、低冗長化ストレージである「S3 Reduced Redundancy Storage(RRS)」の利用を検討するとよい。RRSは、S3よりも内部的な冗長度が低いストレージ。通常のS3にオブジェクトをアップロードすると、オブジェクトはAWS側で内部的に冗長化された上で保存される。そのためS3に保存されたオブジェクトの信頼性は高く、標準のS3オブジェクトは99.999999999%(イレブンナイン)の耐久性(データが欠損しないこと)を誇る。

 一方のRRSは、この耐久性のレベルを落とす代わりに価格を安くしたオプションだ。耐久性のレベルを下げるといっても、低冗長化ストレージの耐久性は99.99%(フォーナイン)なので十分高い値である。

 肝心のRRSの利用価格は、1Gバイト当たり0.0264ドル。従来のS3の約8割の価格で利用できる。それほど重要ではなく、復旧可能なデータを大量に保存する場合はRRSの利用価値が高い。