昨今、スマートフォンは学生から成人まで当たり前のように持ち歩く時代になりました。いつでもどこでもインターネットの恩恵を受けられるようになったのです。少し前まではインターネットにつながるものは、パソコンやプリンターなど、接続できる端末の種類や場所・時間などの制限がありました。今では、「いつでも」「どこでも」「誰とでも」に加えて、「何でも」インターネットに接続可能な時代となり、通信の高速化・大容量化が進んでいます。

 そうした中、あらゆるモノに通信機能を付与して、社会・産業インフラや生活環境を革新的に進化させることができるM2M(Machine to Machine)やIoT(Internet of Things)が多くの注目と期待を集めています。

 M2Mとは、これまでは人が情報を集める作業を行っていましたが、それに代わり、各種センサーと無線・有線通信網を組み合わせて、人を介さずに機械同士で情報をやり取りする通信のことです(図6-1)。IoTとは、インターネットにありとあらゆるモノがつながることを意味しています。

 具体的に例を挙げると、「留守中に家の中をモニターするために、カメラを設置してスマホで監視」「降雨量をセンサーで計量し、遠隔で監視」「家電製品をネット接続して、ソフトウエアのバージョンアップに適用」といった用途に使われています。このように、ありとあらゆるものがネットワークに接続され、監視、更新、制御などネットワーク経由で行える環境が整ってきているのです。

図6-1●M2M(Machine to Machine)アプリケーション
図6-1●M2M(Machine to Machine)アプリケーション
出典:アンリツ
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 今回は、その注目されているM2Mの中でも、期待度が高く、読者の皆さんに身近な存在である「Wi-SUN」(Wireless Smart Utility Network)という規格にスポットを当てて解説していきます。身近だとお話ししたのは、皆さんのご家庭の電力計に、このWi-SUNという技術が使われ始めているからです。