企業にとっては、新たに規定された「要配慮個人情報」と、個人情報の第三者提供委係る記録義務の扱いが問題となる。後者は、名簿屋対策なので追跡可能性ということで「トレーサビリティ」とも呼ばれているが、普通の企業にとっては負担になる可能性がある。「匿名加工情報」については、積極的に活用する企業だけが留意すれば足りる。規制緩和であり、ビジネスチャンスと捉える企業もあるだろう。

 「要配慮個人情報」(2条3項、17条2項、23条2項)は第三者提供が原則禁止だ。いわゆる機微情報である要配慮個人情報については、本人同意を得て取得することを原則義務化(17条2項)し、本人同意を得ない(拒絶選択による)第三者提供の特例(オプトアウト)を禁止(23条2項)している。

 ただし、法令に基づく場合や、人の生命・身体・財産の保護のために必要であって本人の同意を得ることが困難であるなどの場合には同意なしに取得できる(17条2項各号)。

匿名加工情報とは

 一方、「匿名加工情報」(2条9項、10項、36条~39条)は同意なしに提供可能だ。今回の改正により、特定の個人を識別することができないように個人情報を加工して、かつ、当該個人情報を復元することができないようにしたものを「匿名加工情報」と定義し、その加工方法を定めるとともに、事業者による公表や再識別禁止などその取扱いについての規律を設けた。

 IT総合戦略本部の「パーソナルデータに関する検討会」に設けられた「技術検討ワーキンググループ」で匿名化の方法について議論されたが、汎用的な方法はないという結論となった。そこで、技術的処理に加えて公表・再識別禁止などの規制措置をとることで、流通を図るものとして匿名加工情報制度が設けられた。