個人情報保護法の改正で、公正取引委員会と並ぶ包括的な監督機関である独立組織ができた。改正前の個人情報保護法の所管は消費者庁、監督は事業所管大臣であった。縦割りの弊害に加え、名簿屋など明確にどの大臣が所管するのか不明瞭な業界があるという問題があった。

 改正により、分野包括的で、かつ専門的知見が蓄積可能な規制機関として「個人情報保護委員会」(以下「委員会」という)が創設される。委員会は、いわゆる「3条機関(委員会)」である。内閣府設置法49条3項に基づいて置かれる(59条1項)もので、公正取引委員会と並ぶ独立組織である。個人情報保護の監督機関として、政府からの独立を図る諸外国の組織に倣ったものである(表1)。

表1●前身の特定個人情報委員会との比較
表1●前身の特定個人情報委員会との比較
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委員会の組織概要

 委員会は、委員長および委員8人の合計9人で構成(63条1項)し、委員のうち4人は非常勤とする(63条2項)。委員長および委員の任命については、人格が高潔で識見の高い者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する(同3項)。

 委員会の中立性を保つため、委員長および委員には分野バランスが規定されている。

 具体的には、(1)個人情報の保護および適正かつ効果的な活用に関する学識経験のある者、(2)消費者の保護に関して十分な知識と経験を有する者、(3)情報処理技術に関する学識経験のある者、(4)特定個人情報が利用される行政分野に関する学識経験のある者、(5)民間企業の実務に関して十分な知識と経験を有する者、(6)地方公共団体の連合組織(全国知事会、市長会、町村会)の推薦する者が含まれることになっている(同4項)。