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音楽業界がビッグデータ革命に揺れている。定額で聴き放題のストリーミング(逐次再生)型サービスがいよいよ日本でも本格普及。その魅力は、膨大なカタログから消費者一人ひとりにその瞬間のお薦めの曲を提案できる点にある。そのためには消費者の好みを学び、楽曲1曲ずつの「個性」も把握し、両者をマッチングさせる必要がある。よりどころになるのがデータだ。配信会社はライバルより少しでも多く曲調や消費者の行動状況に関するデータを集め、さらに「深く」「広く」分析しようとしのぎを削る。その裏側を、音楽専門のビッグデータ分析会社である米グレースノートの日本法人でCTO(最高技術責任者)を務める渡辺泰光取締役や、米国本社の共同創設者であるタイ・ロバーツCSO(最高戦略責任者)が数回に渡ってひもといていく。
2015年、ストリーミング(逐次配信)型の音楽配信サービスが一気に花開いた。日本を含む約100の国や地域で「Apple Music(アップルミュージック)」が登場したほか、「Google Play Music(グーグルプレイミュージック)」も日本で開始。英国では「Amazon Prime Music(アマゾンプライムミュージック)」がスタートをした。
日本でも国内発のサービスとして「AWA(アワ)」や「LINE MUSIC(ラインミュージック)」が登場。盛んにテレビCMが放映されたこともあり、一気に認知度が上がった。
すでに世界各国では「Spotify(スポティファイ)」を始め「Deezer(ディーザー)」「Rhapsody(ラプソディ)」「TIDAL(ティダル)」「Rdio(アールディオ)」といった数々のストリーミング型配信が人気を博す。
実は世界の主要なストリーミング型配信の多くが米グレースノートの技術を採用している。楽曲メタデータが各サービスの裏側でどのように使われ、どんな価値を生み出しているのか。その結果、消費者にどのような新しい音楽体験が提供できるようになったのかを考察していく。