クラウド、モバイル、ソーシャルメディアによって、これまで散らばっていた人やモノがつながりを持ち始めた。モノの向こうには顧客がいる。顧客はソーシャルメディアでつながり、インターネット上で情報を発信・共有し、知識を共有する。商品やサービスに対する情報を自由に発信し、企業が期待に応えられなければ別の企業に乗り換えることもいとわない。

 これまでは企業が顧客をリードできたが、今後は顧客が主導権を握り、スピードとイノベーションがビジネスの価値を決める時代がやってくる。顧客と1対1の関係を築き、埋もれがちな顧客の声を聞き取り、それに迅速に対応していかなければ、今後の企業成長は見込めない。しかし、現在の情報システムではそれに対応することは難しい。

専門家のみがデータを分析、分析結果は社員に共有できず

セールスフォース・ドットコム 代表取締役会長 兼 CEO 小出 伸一 氏
セールスフォース・ドットコム 代表取締役会長 兼 CEO 小出 伸一 氏

 日々発生するデータを重要な経営資源として活用できないのはその最たるものだ。データ分析には特定部門に在籍する専門知識を持った社員やデータサイエンティストといった専門家だけに任されている。しかも、分析の結果は営業担当者やサポート担当者、マーケティング担当者などすべての社員に共有されるとは限らない。データの90%がここ1年間で生まれており、今後、顧客とのやり取りは数兆件という途方もない数に達すると見込まれるが、誰でも簡単に分析し、結果を共有できるようにはなっていない。

 問題はそれだけではない。レガシーシステム、パソコン、縦割りのサイロ型アプリケーションという言葉に象徴されるように、柔軟性や拡張性に乏しく、スピードとイノベーションに追い付くのは難しい。また、顧客と1対1の関係を築こうとしても、現在のシステムではすべての社員が顧客の声を丹念に聞き取れるようになっていない。ある調査によると、顧客の77%が企業やブランドとつながりを持っていると感じていないという。

 セールスフォース・ドットコムのプラットフォーム、Customer Success Platformは、こうした数々の問題を解決するものだ。セールス、サービス、マーケティング、コミュニティ、アナリティクス、アプリケーション開発という6つの領域のソリューションをクラウド上で提供する。すべてのデータを一元管理しており、どの業務からも活用でき、クラウド、モバイル、ソーシャル、データサイエンス、IoTに対応する。様々なデバイスにも対応しており、アップルのウエアラブル端末、Apple Watchでも使用できる。

 Customer Success Platformを使えば、手元のiPhoneは経営者の意思決定に欠かせないツールに早変わりする。iPhoneの画面をタッチするだけで、経営ダッシュボードが現れる。今期の予算と実績のグラフなどを表示でき、実績が予算に対しショートしそうだと分かれば、早めの対処も可能だ。具体的には、さらに画面をタッチし、地域別、製品別、ディーラー別とドリルダウンしていき、最後には営業担当者一人ひとりの売り上げにたどりつくことで、問題点を把握できる。発見した問題点はiPhoneの画面上に呼び出したメモに書き込み、関係者全員で共有すれば、様々な知恵を出し合い、解決を図れる。誰でもデータ分析の専門家に依頼せずにデータを分析し、結果を共有する「データの民主化」を簡単に実現する。

Customer Success Platformの概要とその効果
Customer Success Platformの概要とその効果
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顧客や見込み客の様々な情報を営業担当者が自力で迅速に分析

 既に米国ではAnalytics Cloudを活用する企業が少なくない。GEキャピタルはその1社だ。法人ローン商品などの営業担当者が顧客や見込み客に関する様々な情報を自分で迅速に分析し、それに基づいた提案ができるようになった。分析対象のデータはクラウド上にあるため、モバイル機器から分析できるので、情報を得てから行動に移すまで月単位から分単位に縮まったという。

 Customer Success Platformはアナリティクスに限らず、様々な形で企業経営に貢献することができる。既に利用する企業を調査したところ、売り上げが37%拡大した、顧客満足度や顧客定着率が45%向上したといった様々な効果が表れている。

 クラウド、モバイル、ソーシャル、データサイエンスという4つの革命が同時に起こっている中で、好むと好まざるとにかかわらずビジネスの仕方はもちろん、成功の方程式が大きく変わろうとしている。当社はCustomer Success Platformを通して、新しい成功の形をお客様に提供していきたい。