「住宅をリフォームしたときに、エアコン選びで後悔する顧客もいるんですよ」。

 こう話すのは、ダイキン工業 空調営業本部HVAC営業部の乗富麻美 営業企画担当。同社は、エアコンの機種や部屋の取り付け位置などをヘッド・マウント・ディスプレイ(HMD)を使って仮想体験できるシステムを2015年8月から導入し、活用している(写真1)。システムを開発したのはTIS。狙いは、同社が取り扱う様々なエアコンの機種の認知度を向上させることだ。

写真1●ダイキン工業は、ヘッド・マウント・ディスプレイ(HMD)でエアコンの機種や部屋の取り付け位置などを仮想体験できるシステムを開発した。
写真1●ダイキン工業は、ヘッド・マウント・ディスプレイ(HMD)でエアコンの機種や部屋の取り付け位置などを仮想体験できるシステムを開発した。
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 ダイキン工業は空調器や冷凍機の販売売り上げが全事業の9割近くを占める。中でも主力となるのはエアコン。家庭で一般的なのは壁に後付けで設置する「壁掛形」だが、実は家庭用でも多様な形態がある。例えば、壁に埋め込んでしまう「壁埋込形」、「床置形」などだ。

 同社は、壁埋込形や床置形を家庭用にも広げたいと考えている。ところが、壁掛形のエアコン以外の認知度は極端に低い。同社は2014年秋に、戸建て住宅のリフォームを経験した一般消費者を対象にWebサイトでアンケートを実施したところ、回答者の実に88%が「壁埋込形」について「知らない」と答えたという。「20人以上に対してヒアリングも実施したが、ほとんどの顧客が知らなかった」(乗富氏)。