いかに見飛ばされず、再生回数を稼ぐか。YouTuber(ユーチューバー)や動画広告を配信する広告主企業、ネット広告企業は見てもらえる動画作りに知恵を絞る。ただ、成果を上げるのは簡単ではない。華やかに見えるYouTuberも、儲かっているのはほんの一握り。上位と「その他大勢」には残酷なまでの格差が垣間見える。

 「はじめしゃちょー」1100万円、ヒカキンの「HikakinTV」800万円、「マックスむらい」450万円――。動画サイト「YouTube」で人気を集める動画投稿者であるYouTuber(ユーチューバー)、その中でもトップクラスに位置するYouTuberたちの、1カ月当たりの推定収入だ。コンテンツ制作大手クリーク・アンド・リバー社がベータ版を公開しているYouTube活用支援サービス「EUREKA(エウレカ)」を基に調べた。

写真●人気YouTuberの体験談も聞ける育成支援サービス「YouTuberスクール」
写真●人気YouTuberの体験談も聞ける育成支援サービス「YouTuberスクール」
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 彼らの収入源は、YouTubeの動画再生回数に応じて、運営元であるユーチューブから得る報酬。金額は1視聴当たり0.1円とも言われる。トップクラスともなれば、給与所得者の年収に匹敵する金額を1カ月で稼ぐ計算だ。

 YouTuberたちは再生回数を増やすために、あの手この手の工夫を凝らす。サッカーのリフティングから筋トレ、大食い、楽器演奏など、他人がなかなかまねできない一芸を披露するのが王道だ。商品の試用レポートや化粧する様子の実況、第1回でも紹介したゲーム実況なども人気が高い。

 「最もおいしいのは、流行に左右されず再生され続ける動画だ」。こう語るのはクリーク・アンド・リバー社の坪田正信氏。YouTuberを活用した企業向けの動画マーケティング支援を手掛ける。

 坪田氏が例として挙げるのは、1~4歳の子供向け動画だ。子供がぐずったときなどに見せて泣き止ませるなど、親世代にも好まれるという。「Kan & Aki's CHANNEL」は、「アンパンマン」のおもちゃなどを使った動画を多数投稿している。同社はEUREKAを使った動画広告の制作支援事業を近く始める。視聴傾向を分析し、視聴回数を増やす助言をしたり人気YouTuberと広告主企業をつないだりする。

 グーグルや傘下のユーチューブもYouTuberの支援を強化している。「YouTuberはじめませんか?」。ユーチューブは9月1日、こんなうたい文句でYouTuber育成支援サービス「YouTuberスクール」を始めた(写真)。YouTubeの動画作成や投稿に関する基礎知識を、希望者へメールで配信するというもの。人気YouTuberのアドバイスも受けられるという。