• 次の人事異動でIT部門のマネジャーに就任する。情報システムのことなんか、よく分からないよ…
  • これまで社内システム開発一筋。マネジャーになりたてだが、上司には「いつまでも社内SE気分では困る」とよく言われる。でも企画や調整作業は面倒で、どうもなじめない…

 筆者らは、ユーザー企業のIT部門の方々と一緒に仕事をする機会が多い。その際、IT部門のマネジャーあるいはその一歩手前の方々から、こんな悩みを耳にすることがある。

 確かに、IT部門のマネジャーを務めるのは容易でない。いきなりIT部門を率いるようにと言われたら、多くの人はとまどってしまうのではないだろうか。

 その一方で、「この人はプロフェッショナルだ」と思えるITマネジャーが存在する。ユーザー部門からの一見無茶な要求事項に対して、実現可能な対案を示す。相手は「君がそう言うなら、仕方ないな」と受け入れる。ITの力を経営に生かすことに大きく貢献しており、経営陣からの信頼は厚い。このようなマネジャーと仕事をする機会もある。

 昨今の技術の進歩や、事業環境の急激な変化に対応するために、ITの力は一層欠かせなくなりつつある。IT活用の巧拙が事業に与える影響は、より大きくなるということだ。

 そうした状況では、ITを事業に生かすための活動をITマネジャーがリードできないと、会社全体が不幸になると言わざるを得ない。今こそ、全てのITマネジャーは「プロフェッショナル」になることを期待されているのである。

 本連載では筆者らが長年のコンサルティング活動で得た経験やノウハウを基に、ITマネジャーがプロフェッショナルとなり、ITを事業に活用するための活動を主導できるようになるための条件を「八つの力」として提示する。現在、ITマネジャーとして活動している方だけでなく、これからマネジャーへの道を歩もうとしている方や、ユーザー企業に協力する立場にあるITベンダーの方も参考にしていただければと考えている。