第2回の毎日新聞デジタルは2015年4月、運営するWebサイトのインフラ環境をグーグルのクラウドサービスである「Google Cloud Platform(GCP)」上に移行した。検討当初は米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のサービスとGCPのどちらを選ぶかで迷った。両者で見積もりを取ったところ、各サイトの利用状況が読めない中で、契約内容を柔軟に変更できるGCPの方が有利と判断した。
 毎日新聞デジタル ゼネラルマネジャー兼総編集長で、マイデジソリューションズ代表取締役社長の猪狩淳一氏と、猪狩氏と一緒にプロジェクトを進めた後に独立したコア・ジャパンの佐藤淳チーフ・クリエイティブ・オフィサーに、GCP選択の経緯や効果を尋ねた(写真1)。

写真1●毎日新聞デジタル ゼネラルマネジャー兼総編集長で、マイデジソリューションズ代表取締役社長の猪狩淳一氏(右)と、コア・ジャパンの佐藤淳チーフ・クリエイティブ・オフィサー
写真1●毎日新聞デジタル ゼネラルマネジャー兼総編集長で、マイデジソリューションズ代表取締役社長の猪狩淳一氏(右)と、コア・ジャパンの佐藤淳チーフ・クリエイティブ・オフィサー
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 毎日新聞デジタルが運営するWebサイトのインフラ環境の移行に踏み切ったのは、従来使用していたサーバー環境の契約更改が迫っていたからだ。それまでは親会社である毎日新聞社のオンプレミス(自社所有システム)環境で、一部のサーバーを借りていた。

 2014年11月に自社サイト向けに記事投稿・表示用のCMS(Webコンテンツ管理システム)のリニューアル作業を進めていたところ、CMSやWebサイトを支えるインフラ部分である本社のサーバー環境が、契約更改のために2015年中に使えなくなることが分かった。

 毎日新聞デジタルでは一部サイトで既にAWSのサービスを利用していたこともあり、「コストメリットなどを考えると、CMSのリニューアルに合わせてWebサイトを支えるインフラ環境もパブリッククラウドに移したほうが良いと判断した」(猪狩氏)。

 当初はAWSの利用を検討していたが、価格を抑えようとすると1年間または3年間の予約金を支払うことで、時間課金の単価が安くなる「リザーブドインスタンス」による長期契約を結ぶ必要があった。

 そもそもWebサイトの閲覧状況は予測が難しい。「いきなり3年契約を結ぶのでは、システム構成を柔軟に変更できるクラウドの良さを生かせない」(佐藤氏)ため、他社のクラウドサービスも検討することにした。