かつて世界最大のビットコイン取引所だった「Mt.Gox(マウントゴックス)」の運営会社、MTGOX社長のマルク・カルプレス容疑者が2015年8月21日、再逮捕された。会社名義の銀行口座から約11億円を独断で出金、そのうちの3億2000万円について着服した疑いだ。

 2014年2月28日に経営破綻したMTGOX。カルプレス容疑者は当時、約65万BTC(ビットコインの単位、現在の相場で約200億円)と現金約28億円を外部からのサイバー攻撃によって奪われた、と説明した。しかし実際に奪っていたのは、カルプレス容疑者自身だった可能性が強まっている。

突然、取り引きが全面停止

 「ビットコインが奪われたという(カルプレス容疑者の)主張は信じていなかった」。こう話すのは、東京都・杉並区在住の佐藤氏(仮名)だ。

 佐藤氏がMt.Goxに口座を開設したのは2013年12月のこと。ところが、わずか3カ月にして口座は意味をなさなくなった。異変に気付いたのは2014年2月25日。Mt.GoxのWebサイトを開こうとして佐藤氏は驚愕した。トップページが真っ白だったのだ。ビットコインと現金の交換はおろか、預けていたビットコインを引き出すこともできない。突然、一切の取り引きができなくなったのだ。

 翌26日、カルプレス容疑者から顧客宛てのメッセージが、Mt.Goxのトップページに掲載された(図1)。「カルプレス氏は日本におり、問題解決に努めている」「当面はビットコイン取引を全面停止する」といった内容だ。

図●2014年2月26日にMt.Gox(マウントゴックス)のトップページに掲載された内容
図●2014年2月26日にMt.Gox(マウントゴックス)のトップページに掲載された内容
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 2日後の2月28日、MTGOXは都内で会見を開いた。東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請、これが受理されたことを発表し、経営破綻した。