写真1●大林組の三輪昭尚取締役専務執行役員
写真1●大林組の三輪昭尚取締役専務執行役員
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写真2●リクルートライフスタイルの原田博植ネットビジネス本部プロダクトマネジメントユニットアナリスト
写真2●リクルートライフスタイルの原田博植ネットビジネス本部プロダクトマネジメントユニットアナリスト
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 「ネット企業に行くか、それ以外に行くか、迷っているんだ」。

 春先、友人の大学生の息子からこんな相談を受けたことがある。自分が就職するころは、「商社」「金融」「メーカー」など、業種で進路を考えていたが、今どきは「ネット」と「リアル」なのか、と面白く感じた。確かに、例えば証券会社にしても、店舗を構えた従来型の企業と、ネット証券とでは、仕事の内容も必要な知識も異なるだろう。

 しかしそうした「リアル」と「ネット」という分け方も、早晩過去のものになるのかもしれない。日経情報ストラテジーが選ぶ「CIOオブ・ザ・イヤー」と「データサイエンティスト・オブ・ザ・イヤー」の受賞者と話してそう感じた。

 「CIOオブ・ザ・イヤー2015」を受賞したのは大林組の三輪昭尚専務。建設業といえば、製造業と並ぶ「リアル企業」の最たるものだろう。しかし製造業では、欧州の「インダストリー4.0」の動きに代表されるように、ITとデータ分析を活用した自動生産が本格化している。同様に建設業にも、ITとデータ分析が競争力を大きく左右する流れが訪れているようだ。

 それは「BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)。設計から施工までの建築の全プロセスに3次元CADを活用し、データを統合管理する。設計時のシミュレーションに始まり、施工の進捗管理などもこのインフラ上で行うことができる。米国で始まったBIMに早期に目を付け、実用化に結び付けたのが大林組。そしてそのキーパーソンが三輪専務だ。

 一方「データサイエンティスト・オブ・ザ・イヤー2015」を受賞したのは、リクルートライフスタイルの原田博植氏。現在取り組むのは「Airレジ」と呼ぶ小売店や外食店の業務支援アプリの活用度分析だ。

 ネット事業に急速に舵を切ってきたリクルートだが、そのフィールドはネット空間だけではない。「Airレジ」はリアル店舗の経営を支援するデジタルツール。自前で集客や経営にITを活かすのが難しい中小店舗を支援することを通じて、リクルートとの絆を強めていく狙いがある。

 原田氏の仕事は、その「Airレジ」の利用度を客観的に分析すること。使いこなせていない店舗が明らかになれば、営業担当者がフォローに回り、ボトルネックを解消する。

 リアルとネットの垣根は日増しに低くなるが、「デジタル」の活用能力が今後の競争優位性を左右することは間違いないだろう。ITproEXPO2015では三輪氏と原田氏がパネルディスカッションで「デジタライゼーション」を大いに語る。

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