全国のCATV事業者が連携して、格安スマホ市場に参入する動きが活発化している。日本ケーブルテレビ連盟がMVNOプラットフォームを用意し、「ケーブルスマホ」として地域のCATV事業者が参入しやすい仕組みを整えた。地域密着型という特性を生かし、新市場の開拓を進める中、日本郵便との提携も模索する。

 「(MVNO事業参入が噂される)日本郵便とはWin=Winの関係を築ける。同社とはパートナーシップを組める可能性がある」─。日本ケーブルテレビ連盟(CATV連盟)の幹部は、同連盟が進める業界連携MVNOプラットフォーム、いわゆる「ケーブルスマホ」の取り組みに関連し、上記のような考えを見せた。

 CATV連盟が進めるケーブルスマホは、全国のCATV事業者のニーズを共通化し、CATV事業者が格安SIMや格安スマホ事業に参入しやすくすることを目指した取り組みだ。2014年6月から本格的な検討を開始し、同年7月末にインターネットイニシアティブ(IIJ)との協業を決定。既に数社のCATV事業者がサービスを開始している。

 2015年3月13日時点で、全国のCATV事業者76社がケーブルスマホのプラットフォームと契約済みという。「ケーブルテレビのネットワークを使って映像を受信している2800万世帯のうち、今回契約した76社で約80%をカバーしている」(連盟幹部)。

 CATV事業者の強みはなんといっても地域密着型のサポート力だ。携帯電話事業者が、地方のユーザーをスマートフォンへシフトさせるのに苦労する中、「我々は地域密着型のサポート力を駆使して、これらのユーザーを獲得していきたい」(連盟幹部)と語る。CATVの契約者世帯は、40代から50代、60代と高齢者層が多い。CATV事業者は、高齢者層が安心してCATVのサービスを利用してもらえるよう、ユーザー宅内でリモコンの操作を講習するなど手厚いサポートを展開している。同様の取り組みを進めれば、既存の携帯電話事業者がリーチできなかった層にもアプローチできるというわけだ。