NTTドコモとKDDI(au)は、2014年度に適用するパケット接続料を3月に公表した。2013年度に比べた低減率はNTTドコモが23.5~43.0%減、KDDI(au)が40.5~57.6%減で、両社の接続料格差は大幅に縮まった。NTTドコモについては、低減率が当初想定を下回り、一部のMVNOから不満の声が出ている。

 NTTドコモの10Mビット/秒当たりの接続料は、レイヤー2(GTP)接続が前年度比23.5%減の月94万5059円、レイヤー3接続が同43.0%減の月102万4321円となった。パケット接続料の低減率が想定を下回ったため一部のMVNOで大きな誤算が生じた。例えば、インターネットイニシアティブ(IIJ)は3月、2015年3月期の連結営業利益予想を下方修正した。パケット接続料は2013年度と2014年度に遡って適用されるため、IIJのネットワークサービスの原価が想定よりも約12億6000万円ほど膨れあがり、営業利益を押し下げる結果となった。

 この背景には、NTTドコモがMVNOに対し「30%減」または「40%減」の接続料を提示していたことがある。実は、総務省が2014年3月に実施した「第二種指定電気通信設備制度の運用に関するガイドラインの改定」により、MVNOがパケット接続料を払う際、過去の増減トレンドを踏まえた「暫定値」で一時的に精算できるようになった。

 パケット接続料は、設備にかかった費用をトラフィックで除算して算出する。分母に当たるトラフィックの拡大は明白で、NTTドコモは2014年度も最低30~40%の低減を見込めると判断したのだろう。だが、ふたを開けてみれば、レイヤー2接続は23.5%の低減だった。仮にMVNOがNTTドコモと40%減で契約していたとすると、2014年4月に遡って差分(16.5%分)を追加で支払わなければならなくなる。