厚生労働省や民間のリサーチ会社がビジネスパーソンを対象に実施したアンケートによると、身体の疲労に対して「何も対策をしていない」という人の割合は、ここ数年ずっと5~6割という結果になっています。

 私も、IT企業で社員さんの施術中に、「こんなに疲れた身体をしていて何かケア(対策)していないのですか?」とよく尋ねます。返ってくる答えの8割くらいが「何もしていない……」というものです。

 日常的なケアの方法としては、「運動する」「よく寝る」「たくさん食べる」「体を冷やさない」「マッサージや整体に行く」などが有効です。職場でできることでは、「机や椅子の高さを工夫する」「ストレッチをする」などがあります。ただ、時間やお金がかかる場合があること、そして「面倒くさい」「どの方法が自分に効くのかよく分からない」と感じがちなことなどから、何もしない状況が続いているようです。

 忙しくて、あまり動かないITプロフェッショナルの皆さん。身体のケアの重要性は認識していても、いざやるとなると面倒くさいと感じる方も多いでしょう。日々ケアを実践するには、「簡単」「効果的」「続けやすい」の要素が必要なのだと感じています。

 今回から2回にわたって、ITプロフェッショナルが日々抱えている疲労に対して、「これだけやっていれば大丈夫!」という簡単な対処法をご紹介します。仕事の合間など、ちょっとした時に継続して行うことで、次第に疲れにくい身体になっていきます。

 前編となる今回は、首・肩の凝り、目の疲れに対処する方法を取り上げます。いずれも、ITプロフェッショナルに顕著な症状です。何もケアをしないと精神的疲労にもつながりますので、少しでも疲れを感じたらすぐに実行しましょう。

首・肩の凝りを解消する

 前回、首や肩凝りの原因の一つとして挙げた姿勢の悪さ。まずは、「IT猫背」と呼ばれる姿勢を正す習慣作りから始めましょう。

「IT猫背」を矯正する

 パソコン作業をしている時は、どうしても画面を凝視しますので、「アゴが前に出た状態」になっています。いわゆる「IT猫背」になり、頭が前に出てしまいます。