私は15年前に整体師・ボディセラピストの資格を取り、2007年から企業の職場への出張施術(マッサージや整体など)を専門にした事業を展開しています。これまで120社以上のオフィスを訪問し、多くの働く人を施術してきました。そのうちの7割ほどを、IT関連企業が占めます。

 IT企業で特によく出会うのが、仕事の疲れやストレスをためこんで解消できず、パフォーマンスを低下させ、健康状態まで損なっている社員さんです。これまでに、そんなITプロフェッショナルを数多く見てきました。

 仕事量の多さがもたらす長時間労働(残業や休日出勤)、切迫した納期のプレッシャー、社内の作業チームやユーザーとの人間関係・コミュニケーションの難しさ、日々進化する技術革新。こうした様々な面で、IT業界は他業界と比較しても日常的にストレスの多い環境にあるといえます。

 今回から5回にわたって、ITプロフェッショナルの身体と心の疲労の原因と、その解消法を解説します。

9割以上が疲労状態

 IT企業を訪問して社員さんの施術をしていますと、9割以上の方の身体が疲労状態にあると感じます。それほど自覚がない方もいますが、自覚がないというのは脳が感知していない(経験がない)というだけのことなので、良いこととはいえません。施術者に触られて「初めて疲労状態に気づく」ということも珍しくありません。

 新卒で入社した社員さんも、1~2年も仕事を続けますと、一人前に凝りや筋肉の張りをまとい、疲れた身体が出来上がってしまいます。職業病ですね。そこで、若いから頑張れてしまうのがまた問題。20代でそんな身体の状態では、先々のことが本当に心配になってしまいます。