フリーミアム、口コミサイト、割引クーポンで起きやすい不当表示問題。景表法改正で、新たに課徴金制度が導入される。表示規制はそれほど厳しくないものの、消費者が「不当」と判断すれば、課徴金以上に評判低下のリスクが大きい。

 インターネット取引での不当表示については、2012年5月9日に消費者庁から「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」が公表された。2014年には「不当景品類及び不当表示防止法(景表法)」が改正され、不当表示に対する課徴金制度が導入されることになった。今回は、これらを踏まえて、ネット取引での表示に関する留意事項を取り上げる。

 景表法上の不当表示には、「優良誤認表示」と「有利誤認表示」がある。どちらも、一般消費者を誤認させ不当に誘引しようとする表示のことだが、対象が異なる。優良誤認表示は品質や規格などについて、有利誤認表示は価格や取引条件について、実際のものや他社のものより著しく優良または有利であると誤認させる表示のことだ。

 「留意事項」では、ネット取引で表示が問題となり得る事例をいくつか取り上げている。

 一つ目は「フリーミアム」である。フリーミアムとは、無料サービスを提供することで、大きな顧客基盤を確保し、その上でいかに当該顧客基盤を有料の付加的なサービスに誘引するかというビジネスモデルだ。このビジネスの特性上、無料サービスについての広告表示が過剰になりやすい。例えば、「完全無料で動画が見放題」「無料で全てのデータを保存できる」といった表示をしてしまうケースが多い。

 留意事項ではこうしたケースを問題となる事例として挙げており、「事業者は、無料で利用できるサービスの具体的内容・範囲を正確かつ明瞭に表示する必要がある」としている。

 二つ目が「口コミサイト」だ。留意事項では、一般消費者による口コミの表示は、原則として景表法上、問題にならないとしている。だが、「商品・サービスを提供する事業者が、顧客を誘引する手段として、口コミサイトに口コミ情報を自ら掲載し、または第三者に依頼して掲載させ」た場合は、景表法上の不当表示の問題となり得るとしている。

 問題となる事例として、「商品・サービスを提供する店舗を経営する事業者が、口コミ投稿を代行する事業者に依頼し、自己の供給する商品・サービスに関するサイトの口コミ情報コーナーに口コミを多数書き込ませ、口コミサイト上の評価自体を変動させて、もともと口コミサイト上で当該商品・サービスに対する好意的な評価はさほど多くなかったにもかかわらず、提供する商品・サービスの品質その他の内容について、あたかも一般消費者の多数から好意的評価を受けているかのように表示させること」を挙げている。