前回は、ユーザーとベンダーで発生しがちな認識齟齬の原因として、ユーザーの要求の解釈に関するもの、役割分担に関するものの2つ取り上げました。今回はユーザーの要求の解釈についての認識齟齬に着目し、曖昧な要求を明確化するための解決策を説明します。

 ユーザーの要求を曖昧にしたまま見積もると、ユーザーとベンダーの間に認識齟齬が発生しかねないため、何らかの前提条件を設定しながら要求の内容を解釈して明確にし、ユーザーとベンダーで共有する必要があります。

 第3回で説明したように、適切な見積もりを実施するには、見積もりプロセスを踏まえることが重要です。ユーザーの要求内容を解釈する作業は、見積もりプロセスのステップ2「要求の把握と補完」とステップ3「システム要件の確認と合意」に該当し、図1の黒地の部分です。今回はステップ2とステップ3について、主にベンダーの視点から以下の3つの観点でノウハウを説明します。

観点1 要求の解釈

観点2 開発形態(市販製品やサービス型ソフトウエア=SaaSなど)の検討

観点3 システム要件の(ユーザーとベンダー間での)合意形成

図1●今回の説明範囲
図1●今回の説明範囲