アップルの今秋以降の新製品、サービス戦略を予想する本企画。第2回は、タブレット市場を切り拓いたiPadの行方だ。Microsoft Surfaceの好調が伝えられる一方、iPadは同社の業績報告などを見ても、このところ勢いに陰りが見られる。果たして、反転攻勢の隠し球はあるのか? 噂の大画面iPadとは? 日本を代表するアップル・ウオッチャーであるMACお宝鑑定団のDANBO氏が読み解く。

(編集部)


 昨今のアップルの業績発表では、いまひとつ精彩を欠いて伝えられることの多いiPadだが、依然同社は、タブレット市場において25%近いシェアを持つトップメーカーだ(2015年2Qの値、IDC調べ)。確固たる地位を築いたコンシューマー市場に続き、ビジネス市場においても既存のパソコンを置き換えるべく挑戦を続けている。

 かつては、Windows上で動くOfficeがビジネスでは必須と言われ続けてきた。だが、マイクロソフトによるiPad向けOffice製品のリリースに時間がかかったことや、営業業務端末として、一定の作業ができればそれでよしという考え方もあり、組み込み向けアプリ開発の普及と相まって、iPadは加速度的に企業に導入されている。

 ビジネス市場において、政府機関や金融機関などから高い信頼を寄せられているIBMと世界規模のパートナーシップを結んだことにより、アップルだけでは獲得できなかった日本郵政のような大口顧客へのアプローチも始まった。

政府機関や大企業ユーザーに強いIBMとの戦略提携でビジネス市場を攻める(画像はアップルのホームページより)。
政府機関や大企業ユーザーに強いIBMとの戦略提携でビジネス市場を攻める(画像はアップルのホームページより)。
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 第1回でも触れたように、アップルの製品開発ポリシーは、ユーザーの意見を聞いて、ユーザーがいま求めている製品を作ることではなく「ユーザーが欲しくなる製品」を送りだすことにある。故スティーブ・ジョブズ氏も「多くの場合、人は形にして見せてもらうまで自分は何が欲しいのか分からないものだ」と言っていたように、まったく新しい製品でユーザーを魅了し、その後は、改良に改良を重ねて製品品質を向上させる手段を取り続けている。

 アップルは昨年、「iPad Air」の筐体デザインを踏襲しながらも、A8Xチップと、厚みを1.4mm薄くした「iPad Air 2」を発売した。加えて、指紋認証センサー「Touch ID」や、フルラミネーションディスプレイ、反射防止コーティングを採用、重さも最大34g軽くした。たった34gの差だが、筐体の薄さと相まって、iPad Air 2はiPad Airと比べて、非常に軽く感じる。