米ABTパワーマネジメントは、2014年に始めたDCバッテリーのリモート資産管理サービス(RAAMS)によって、米キャンベルスープカンパニーの配送センターで約2億5000万円のコストを削減した(関連記事:[1]バッテリー管理会社が年間2億5000万円のコスト削減に成功したワケ)。これは、IoT(Internet of Things)によって収集したデータを分析し、作業ルールを継続的に改善したことのたまものといえる。キャンベルでの成果とRAAMSの強みを解説しよう。

 ABTは、RAAMSを突然始めたわけではない。同社がまず手掛けたのは、DCバッテリーに関する定額保守サービス「Guaranteed Power Program」だった。バッテリー寿命に関する研究と現場ノウハウ、設備データのモニタリングと分析によって、最適な現場作業を実現できるようになったことから、定額制サービスの導入に踏み切った。

 Guaranteed Power Programは先駆的だった。顧客ごとのフォークリフトの運転操作や使用環境が与えるバッテリーへの影響などについての科学的な理解を基に、顧客の業務で必要なバッテリーの個数を算定したり、バッテリー寿命を延ばすための運転ガイドを提供したりと、顧客のTCO(総所有コスト)削減に貢献するものだったからだ。

 このサービスを進化させたのがRAAMSである。RAAMSは、産業用バッテリーや充電システムからほぼリアルタイムにログデータを収集し、定義した作業ルールと照合して保守業務の要否判定などの対処を自動的に決める。作業ルールは顧客に合わせて改善を施し、最適化を目指す。

写真●米キャンベルスープカンパニーの配送センター
写真●米キャンベルスープカンパニーの配送センター
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 キャンベルでのRAAMS導入の成果は目覚ましかった。フォークリフトの運転操作、保守サービス要員の派遣回数やタイミングを改善することで、フォークリフト1台当たりのバッテリー使用を年間2.6個から1.4個に削減、バッテリーの平均寿命を従来の約4年から5年に1年間延ばすことに成功した。キャンベルは配送センターなどで使うフォークリフトのバッテリーを年間1080個交換していたが、これを73個に抑えた(写真)。