「展示会での名刺獲得枚数は5倍になります」

 そう言うと、誰もが耳を疑います。「コンサルタントが調子のいいことだけを言っている」と感じる方も当然いらっしゃいます。

 しかし、企業の展示会マーケティングをお手伝いしてきたこれまでの実績から、以下のいずれかの条件に合う企業であれば、ほぼ間違いなく「名刺獲得枚数は今の5倍に引き上げることができます」と言えます。

  • 何となくしっかりと考えることなく出展している企業
  • 過去に何度も出展しているので、慣例通りの出展を繰り返している企業
  • 展示会出展の目的があやふやではっきりしていない企業
  • 名刺獲得枚数が、平均すると出展回数につき100枚前後が実績の企業

 この4つのうち、特に最後の条件に合う(合ってしまう?)企業であれば、5倍には引き上げられます。あれ、多くの会社が当てはまっていませんか?

 私がコンサルティングを担当している企業が、どうして5倍の実績を生み出すことができるのか。そこにはシンプルな原則があります。それは、「5倍の目標を立て、5倍になるように企画を考え、5倍になるように現場のオペレーションを変えた」からにほかなりません。とにかく精神論でがんばって、結果的に5倍になったのではありません。最初から5倍の目標に向かって全てのやり方を見直した結果が、5倍の実績となったのです。

100枚だったのが1000枚にまで増えた事例も

 過去の展示会で100枚の名刺しか獲得できなかったある企業で、500枚の目標を立てたことがあります。あなたならどう感じるでしょうか? 過去に何度も出展して、100枚しか獲得できていない展示会。そこに500枚の目標を立てようと言われたとしたら……。恐らく激しい抵抗をしませんか?

 予想通り、筆者は激しい抵抗に遭いました。会議参加者全員が反対。その理由にも説得力がありました。「この展示会はピークを過ぎており、来場者数が毎年減っている」。確かに来場者数は毎年減っていました。ピークを過ぎている展示会であるのも確かなようでした。

 「毎年、100枚前後の実績ですよ。人数も出展コマ数も予算の関係で増やせません」---。予算は決まっていました。出展申し込みもすでに終わっており、大幅にコマ数を増やすということも、コンパニオンを大量に配置して名刺を集ることも、高価なノベルティで来場者の気持ちを動かすこともできません。

 本当は800枚の名刺獲得目標にしようとしました。しかし、目標数字自体が無謀であり、メンバーのモチベーションが維持できないと言われ、500枚まで目標を下げました。それでも抵抗は根強くありました。

 さて、結果はどうだったでしょうか。名刺獲得数は1000枚。実に10倍の実績となりました。