この連載では、ITの運用以外の職場も想定しながら、「そもそもITILって何?」「ITILを活用するとどんないいことがあるのだろう?」といった疑問を、様々な視点で分かりやすく解説していく。第4話では、「可用性管理」「需要管理」「キャパシティ管理」の3つを理解しよう。

【「えっ、それって当然ナントカしてくれるんだよね?」】
プロマネ 伊東 聡太郎の冷や汗

 伊東聡太郎、33歳。都内の中堅ITベンダに勤める、元気な若手プロジェクトマネージャだ。

 営業とタッグを組み、ある客先の人事システムの開発を受注。要件定義もスンナリと終わり、設計、開発と進んで晴れてリリース(運用開始)。システムを運用チームに引き渡した。ところが1カ月後、運用チームのリーダーから1本の怒りの電話が…。

 「きちんと性能設計したのかよ!」

 なんでも、昨日から「ログインできない」「タイムアウトする」などユーザーから苦情の嵐らしい。聞けば、この客先では事業拡大に伴って新卒と中途の社員が一斉に大量入社したとのこと。たくさんのユーザーのシステムへのアクセスが集中し、処理限界を超えているようだ。いまの性能ではまずい。さらには運用チームもいまの人数ではとてもユーザーのクレームに対応し切れないとのこと。

 客先は、「えっ、それって当然ナントカしてくれるんだよね?予算はないよ」の一点張り。そんなこと言われても、「性能要件?御社に任せた!」って言ったのそっちじゃないですか。ユーザーが増えるなんて聞いていないですし…。また、気合と根性でなんとかしろってことですか?…トホホ。

リリースしたのはいいけれど…

 新たにリリースしたITシステム。

「レスポンスが遅くて、仕事にならない!」
「利用時間が短すぎる…」
「バッチ処理に時間がかかり過ぎて、業務が回らない!」