ITサービスの好事例集「ITIL(Information Technology Infrastructure Library)」。世界中の公共機関や企業で、IT運用のマネジメントフレームワークとして活用されていて、いまやグローバルデファクトスタンダード(事実上の業界標準)と言っても過言ではない。
一方、「ITILとは何なのか分かりづらい」「社内やお客さんに説明しづらい」「どう使ったら良いのか分からない」と言った戸惑いの声もよく聞く。
また、運用改善・オペレーションマネジメントの仕組みとして大変優れているにも関わらず、IT以外の業種・職種での活用はおろか、認知すらもされておらず、実にもったいない。
この連載では、ITの運用以外の職場も想定しながら、「そもそもITILって何?」「ITILを活用するとどんないいことがあるのだろう?」といった疑問を、様々な視点で分かりやすく解説していく。第2話では、「プロセス」とは何かを理解しよう。
【「綱渡り」の社内ITサポートデスク】
大塚直哉リーダーの危険な開き直り
大塚 直哉(おおつか なおや)、35歳。都内の中堅商社A社の社内ITサポートデスクのリーダーを務める。
大塚のチームの主なミッションは、人事システム・購買システムなどA社の社内システムの操作方法の問い合わせ対応、社員の異動や退職にともなうアカウントやシステム利用権限の付与や削除、職場のレイアウト変更に伴うネットワークの設定変更などだ。
毎日、社員からたくさんの問い合わせや作業依頼、クレーム、要望などを受け付けて、さばいている。忙しい職場だが、なんとか業務を回してこれているのは、ひとえにチームのベテラン、久保さんの「職人技」のおかげ。
久保さんは、もともとネットワークの技術者だった。とりわけネットワークに関するトラブルシューティングはお手のもの。頑固オヤジの一面もあるが、ネットワークがトラぶった時は久保さんに任せておけば、必ずなんとかしてくれる。
ただし、何がトラブルの原因で、どんな対処をしているのかは、他のメンバーにはさっぱり分からないのだけれど。
その久保さんの取り柄は、なんといっても健康な体。スポーツジムで鍛えた体はたくましく、チームのメンバーを魅了している。この秋には、トライアスロンにもチャレンジするとか。(あ、怪我だけはしないでくださいネ!)
健康な久保さんが、1日も休むことなく出社してくれているおかげで、ITサポートデスクは成り立っている。休んだり、辞められると大ピンチなんだけれど…まぁ、考えないことにしよう。これからもよろしくお願いしますよ、久保さん!