改正労働者派遣法案が、ようやく今国会で成立する見通しだ。前回は、特定労働者派遣制度の廃止を解説した。今回は、専門26業務と呼ばれる枠組みが撤廃される件について説明したい。

専門26業務撤廃は、IT業界にとって大きな転換点となる。約30年にわたる“特別扱い”が終わってしまうのだ。

 現行法では、派遣労働者を受け入れられる期間は最長3年間と決まっている。しかし、専門的知識や技術などを必要とする専門26業務は例外として、期間制限を受けていない(図1)。専門26業務には、「ソフトウエア開発」などが含まれており、IT業界では1人の派遣技術者が長期間にわたって派遣先に常駐することも珍しくない(図2)。

図1●専門26業務と専門26業務外での期間制限の違い
図1●専門26業務と専門26業務外での期間制限の違い
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図2●専門26業務に該当する業務一覧
図2●専門26業務に該当する業務一覧
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 専門26業務の撤廃で、全ての業務が原則として3年間の期間制限を受ける。人を入れ替えれば3年を超えた派遣が可能だが、1人の技術者を同じ派遣先に長期間にわたって常駐させ続けることはできなくなる。システム開発や保守・運用業務を長期間にわたって特定の派遣技術者に任せてきたIT職場で、技術者の交代を余儀なくされるわけだ。