マッピングシステムが制御

 各データセンターの規模や容量に見合った適切な負荷を配分するため、それぞれのサーバーおよびデータセンターの負荷状況をリアルタイムに計測している。

 例えば平常時では負荷が50%を超えるようなコンテンツ要求が特定のサーバーやデータセンターに集中することを防いでいる。

 ここでは「マッピングシステム」と呼ばれるシステムが制御している。マッピングシステムでは定期的に各サーバーの負荷情報を計測し、特定サーバーの負荷上昇時にはそのサーバーへ新たなコンテンツ要求を誘導しないように後続のコンテンツ要求を別サーバーに割り振る。このため、新たなサーバーのIPアドレスをDNSサーバー経由で各端末に通知する。

端末の所在地を知る

 消費者(端末)をなるべく「近く」のデータセンター(サーバー)に誘導することが効率的な運営の秘訣である。この「近く」を実現するためには、(1)端末の所在地を知る、(2)「近く」の適切なサーバーを探し出す─という2つを実行しなければならない。

 まず端末の所在地を知るためには便宜的に、各端末が名前解決に使うDNSリゾルバーの所在地を利用する。この方法は厳密に端末の所在地を検出しているわけではない。大まかには端末は所属するISPが運営するDNSリゾルバーを利用するケースが多いことから、近似解として利用する。

「近く」の適切なサーバーを探し出す

 次に「近く」の適切なサーバーについては、固定的にサーバーを指定することはできない。端末と同一のISPに設置されたサーバーの負荷が比較的低く、要求されたコンテンツのキャッシュを持っているなら、そのサーバーを割り当てる。応答時間、処理コスト的に有利となる。ただ局所的なアクセス増により該当するISPの設置したサーバーの負荷が突然高くなることもあり得る。

 そのようなケースではマッピングシステムが「次に近い」サーバーを割り出し、後続のコンテンツ要求をそちらのサーバーに誘導する。この「次に近い」サーバーは端末が所属するISPとピアリングしている事業者かもしれないし、IX(Internet Exchange)に設置されたものかもしれない。マッピングシステムは時々刻々と変化する各サーバーの負荷状況やネットワークの状況を勘案して、「近く」の適切なサーバーを決定する。