データセンターの設計を担当している方々の主な悩みは、増え続けるWebトラフィック(=データセンターの負荷)にどう対応していけばよいのか、どの程度の容量を準備すれば当面の負荷に耐えられるのか─ということだろう。ただ現実を見れば、負荷は事前に分かるというものではなく、何がしかの予測を立て、それに対する備えを実際の設備容量という形に反映させる。この後に担当者が出来ることは予測が当たってくれることを祈るくらい。このように難易度の高いビジネスプロセスが実践されている。

 一方、アカマイのデータセンターでは、そのセンターで処理すべき負荷をリアルタイムでコントロールすることができる。各センターの処理容量に応じて一定の余裕(平常時に50%程度)を持たせながら、個々のセンターに割り振る負荷を調整する。こうすることでネットワーク全体におけるロードバランシングを実施する(図2)。

図2●ネットワーク全体にわたる負荷分散
図2●ネットワーク全体にわたる負荷分散
Webサーバー(www.example.co.jp)への接続を各ISPに設置したサーバーが分散処理する。
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 これこそが、(1)比較的小さなデータセンターを数多く運営し、トータルとして膨大な配信容量を実現する、(2)一部のデータセンターにトラブルが発生した場合でも即座に他のデータセンターが代替することで可用性を保つ─ことができる秘訣である。

 以下、このロードバランシングの仕組みについて詳しく見ていこう。