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情報を読み解けば未来が見える

ネットに氾濫するトンデモなウソにどう対処するか(その1)キーワードで見分けるウソ

松浦 晋也=ノンフィクション作家 2015/07/21 ITpro

 「インターネット」という言葉を使うことも少なくなった。皆、「ネット」という。ネットというだけで、それはTCP/IPプロトコルを使うインターネットのことを意味するようになった。

 インターネットは米高等研究計画局(ARPA:現在は防衛高等研究計画局[DARPA])の資金で作られた、大学や研究機関の持つコンピューターをつなぐネットワークとして始まった。パケット伝送という柔軟性と融通性に富む情報伝達方式を採用したおかげで、どんどん拡大し、1990年代前半には一般の接続と商業利用が可能になった。そこから後はご存知の通り——今は巨大なクラウドの計算リソースからスマートフォンに至るまでのあらゆる情報機器が接続され、相互に通信を行うようになった。IoT(Internet of Things)が進展すれば、身の回りのすべての事物にチップが埋め込まれ、ネットに接続するようになるだろう。

 人類史上未曾有の過剰なまでに情報が流通する状態で、様々な問題も起きる。今回は、そんな問題のうちのひとつ「ネットにはびこるウソ」について考えていくことにする。

水からの伝言、江戸しぐさ、EM菌

 実のところ、ネットに流布するウソの多くはネット以前から世間に流布していて、ネットの普及とともに目立つようになったものが多い。それも「こんな素晴らしいものが」というウソを普及させようとする動きと、「こんなウソが流布している」と批判する動きの両方が起きていて、結果的により目立つようになっている。ネットにより、誰もが手軽に不特定多数に情報を発信できるようになったことから、信じる者は普及に努め、同時に批判する者も批判の文書をネットで公表するようになった。結果、意見の衝突が生まれ、物見高いネットユーザーが「なんだ、ケンカか?」と集まってくるようになる。

 ネットの一般化により「そのような言説がある」ということは、どんどん公知の事実になっていったわけだ。

 そのようにして有名になったウソのひとつに、「水からの伝言」がある。「水に“ありがとう”や“平和”といったきれいな言葉をかけて凍らせるときれいな結晶になり、汚い言葉をかけて凍らせると汚い結晶になる」という言説だ。会社経営者の江本勝氏という人が提唱し、1999年に自分の経営する波動教育社という会社から出版した「水からの伝言」という本をきっかけに広く知られるようになった。

 これが全くのウソであることは、すこし調べれば分かる。水がどんな状態でどんな結晶を生成するかは、随筆でも知られる低温科学者の中谷宇吉郎(1900〜1962)が行った記念碑的研究により「中谷ダイヤグラム」という図表にまとまっている。つまり、どんな条件の時にどんな結晶ができるという物理的な条件が完全に分かっていて、そこに「きれいな言葉をかける」というような不明確な条件が入り込む余地はない。この件に関しては、理科教育が専門の左巻健男・同志社大学教授が「水はなんにも知らないよ」(ディスカヴァー・トゥエンティワン刊)という、問題点を指摘した本を出している。

 そもそも、H2Oという分子式で表される水が、いったいどのような仕組みで1)人間の声を認識し、2)日本語を認識し、3)その意味を解釈し、4)意味に応じて結晶形態を変えるのか——考えるほどに、その主張の無理無謀さが見えてくる。

 ところが、「水の伝言」には、「感動しました」というような人が多数現れ、中には「水も良い言葉が分かるのだから、みなさんも良い言葉を使うようにしましょう」と道徳の授業に使う教師まで現れるようになってしまった。

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