「新世代クラウド」として取り上げる3つの技術のうち、コンテナ管理ソフト「Docker」はこの2年で急速に注目を高めている。

 新興ネット企業の米ドッカーが社名変更を経て、DockerをOSSとして公開したのは2013年春。OS上に仮想的なOS環境を作るコンテナ技術は従来にもあった。しかしDockerは使いやすさなどからあっという間にIT技術者の間で広まった。

ITインフラ技術者の手を煩わせない

 ブームを支えた技術者とは、アプリケーションやWebサービスなどのソフト開発者である。従来の仮想化技術では与えられたIT基盤を使う側のソフト開発者が、DIY(Do It Yourself)の精神で主体的にIT基盤に関わっている。

 例えば、人材採用サイト「Wantedly」を運営するウォンテッドリーはサイト運営にDockerを全面的に採用している。同社ではITインフラ技術者がVMを一つひとつ払い出すような日常の運用業務には携わらない。「ソフト開発者が開発業務と一体的に、必要なアプリ実行環境を自ら生成して利用している」(内田誠悟エンジニア)からだ。

 Wantedlyは1日で数十の新機能をリリースするなど、小さな改良を繰り返す開発体制を重視している。「必要なアプリ実行基盤は自ら作る」というDockerの発想がこの開発体制を可能にしているという。