活発に話し合いをしながら進むコーディング(写真1)。ホワイトボード一面に貼られた付箋(写真2)。代表的なアジャイル開発プロセス「スクラム」による開発作業が展開されているのは、NTTデータの研修ビルだ。新入社員研修のカリキュラムの一つに、アジャイル開発を採り入れている。

写真1●上級クラスの研修風景
写真1●上級クラスの研修風景
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写真2●作業項目を付箋で貼り出す
写真2●作業項目を付箋で貼り出す
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 NTTデータの2015年度の新入社員は379人。約2カ月にわたって実施される全体研修のメインは、IT知識を扱う技術研修だ。ITスキル別に13のクラスに分かれ、コンピュータの仕組みやアルゴリズム、プログラミングなどについて学ぶ。

 アジャイル開発は、ITスキルが最も高いメンバーが集まる上級クラスだけの研修項目だ。「講義らしい講義はほとんどない。分からないことは自分たちで解決しながら進めていく」(NTTデータ 人事部 人事担当 人財開発グループ 千田真悠子主任)スタイルだ。分からないことをどう調べるか、というところから試行錯誤を重ね、最終的に一つのAndroidアプリを完成させる。

 アジャイル開発を初めて採用したのは2014年度。ITの基礎知識などの研修は大した苦労なくこなせる上級クラスのメンバーが、「アジャイル開発で初めて難題にぶち当たった」(千田氏)。あえて困難な課題を与えることによる成長促進を狙い、2015年度も引き続き実施した。

アジャイルなら講師の“お膳立て”が不要

 上級クラスは、豊富なプログラミング経験を持つメンバーがほとんどだ。ただチームで一つのソフトウエアを作り上げるのは、プログラミングスキルとは別のスキルや知識が必要になる。最初のうちは、ソースコードをレビューし合ったり、全体をつないでテストをしたりといった作業が工程から漏れてしまうこともあるという。こうした点は、講師が適宜アドバイスを行う。