「価格.com」や「食べログ」などの口コミサイトを運営するカカクコム。同社の長谷川知彦氏(プラットフォーム技術本部 システムプラットフォーム部 第1インフラサービスチーム)が、システム基盤の構築・運用方針を記者に語った。「基盤はコスト性能比が大切。そのためには実績が乏しい最新のソフトやハードでも積極的に採用する」(長谷川氏)というものだ。

写真●カカクコムの長谷川知彦氏(プラットフォーム技術本部 システムプラットフォーム部 第1インフラサービスチーム)
写真●カカクコムの長谷川知彦氏(プラットフォーム技術本部 システムプラットフォーム部 第1インフラサービスチーム)
[画像のクリックで拡大表示]

 カカクコムは2013年から、主に新規事業用としてプライベートクラウドを運用している。当初稼働させた基盤は、DB周りのI/O性能が不足気味になったため、2015年3月に刷新した。刷新に当たって長谷川氏らのチームが掲げた方針が、冒頭のコスト性能比の追求である。パブリッククラウドと同等以上の性能を割安に実現してこそ、プライベートクラウドを運用する価値があるというわけだ。

 事実、3月に稼働させた基盤には最新のソフトやハードをふんだんに取り入れた。例えば仮想化ソフトには、米Citrix Systemsの最新版「XenServer 6.5」をリリース直後に採用した。「カーネルの64ビット化によって従来版より格段に高速になったことを、ベータ版を試して知っていた」(長谷川氏)。

 また、最大の課題であるI/O性能の向上策には、米EMCのオールフラッシュストレージ「XtremIO」を選択した。オールフラッシュはディスクベースのストレージより高価だが、「コスト性能比で考えればむしろ割安といえる」と長谷川氏は話す。

 オールフラッシュストレージはランダムアクセス性能が高く、重複排除やデータ圧縮をインラインで実行しても、性能劣化がほとんど見られない。実質的な容量単価で検討すると、ディスクベースのストレージと遜色ない。さらにI/O性能が高いため、「従来は仮想化基盤に載せることを諦めていた負荷の高いDBも、載せられるようになった」(長谷川氏)。こうした要素を加味すれば、コスト性能比はディスクより高いという。