東京工科大学は、コンテナー型仮想化機構「Docker」を用いた新たな学内のシステム基盤を2015年1月に整備し、4月から運用を始めた。このシステムは、学生がソフトウエア開発を学ぶ際に利用するもので、学生の一人ひとりにWebベースの開発環境を整備したサーバーを支給することができる。学生は与えられたサーバーを自由に使ってプログラミング学習やソフトウエア開発ができる。

写真●東京工科大学コンピュータサイエンス学部教授 田胡和哉氏
写真●東京工科大学コンピュータサイエンス学部教授 田胡和哉氏
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 Dockerを採用した経緯について、同大学コンピュータサイエンス学部教授でメディアセンター長の田胡和哉氏は「IT企業でシステム開発を手掛けた経験を持つ学生が3人おり、彼らを中心に学内で開発した。Dockerの採用も彼らのアイデアだ」という。

 また、既に業務系と教育系のシステムを分けて運用していたことも、Dockerのような新しい手法の採用を後押しした。東京工科大学では、2013年度に業務系のシステムをすべてMicrosoft Azureを利用したクラウドに移行している。そのため、学内に残している教育用のシステムでは、リスクを取ってDockerのような最新の技術を導入できた。

 田胡氏は、Dockerを用いたシステム基盤構築の利点について、「コスト削減よりも、『変われる力』が付くというメリットが大きい」と語る。学生自身が開発したプログラムを学内ポータルサイトで公開したり、学内向けサービスとして運用したりするといったことが簡単にできる。「学生にサービスを作らせるときも、Dockerイメージの形にまとめてくれと頼んでおけば、ソフトウエアができた次の日にサービスインできてしまう。システムをどんどん進化させていきたい組織では、Dockerは非常に有効だ」(田胡氏)。