元ソニーのCIO(最高情報責任者)で、現在ガートナー ジャパンのエグゼクティブパートナーを務める長谷島眞時氏。その長谷島氏が今回対決する極言暴論は「経営者の間で台頭するCIO不要論」だ。ビジネスのデジタル化が進む中、CIOに役割が無いとする“不見識”を斬る。

 今回から、日経コンピュータの木村岳史編集委員の「極言暴論」の各論に対する反論を開始する。まずは「経営者の間で台頭するCIO不要論」についてだ()。これを要約すると、「最近、CIOに役割は無いとする経営者が増え、実際にCIOの廃止に踏み切る企業も出てきた。CIOが日常的に経営に関与していない以上、それは当然のことだ」ということになるだろう。

図●経営者の間で台頭するCIO不要論
図●経営者の間で台頭するCIO不要論
[画像のクリックで拡大表示]

 確かに企業において、CIOやIT部門の戦略的な役割の担い手という位置付けが低くなってきていることは、否定できない。基幹系システムの場合、構築後は企業を支えるインフラとなる。インフラになると、新たに付加価値を生み出すわけではないので、経営者から見た戦略性は下がってしまう。

 経営者は新しいものを生み出す取り組みに戦略的な価値を見いだすので、新規事業などを担う人を大切にしがちになる。反対に、基幹系システムの運用など「縁の下の力持ち」のようなことを担っている人たち、あるいはそうした経営機能については、あまり大事に思わない。そのことが、CIOは日常的に経営に関与していないという評価にもつながっている。