「シリコンバレーがやってくる(Silicon Valley is coming.)」――。シリコンバレー企業の活動領域が、ITやメディア、eコマースといった従来の領域から、金融業、製造業、サービス業などへと急速に広がり始めている。冒頭に紹介した「シリコンバレーがやってくる」という言葉は、米国の大手金融機関であるJPモルガン・チェースのジェームズ・ダイモンCEO(最高経営責任者)が、2014年度の投資家向け年次報告書で述べたもの。ウォール街もシリコンバレー企業の“領域侵犯”に警戒心を隠さない。全ての産業をテクノロジーによって変革しようと企むシリコンバレーの今を、その中心地であるパロアルトからレポートする。
シリコンバレーNextレポート
目次
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MSのクラウド売上高がAWSを上回る?米IT大手の17年10~12月期決算
パブリッククラウドの競争がますます激化している。米IT大手が2018年2月初旬までに発表した17年10~12月期決算では、米Microsoftのパブリッククラウド事業の売上高が米Amazon.comのそれを上回り、米IBMの同事業も年間100億ドル(約1兆900億円)の大台を超えた。
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ハードウエア起業、シリコンバレーで増えている理由
シリコンバレーで近年、ハードウエアを開発するスタートアップが増えている。ハードと言ってもIT機器やデジタルガジェットではない。調理家電のような生活を便利にするハードを開発するスタートアップが注目を集めている。
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パナソニックがシリコンバレーに「工場」を新設、そこで作るもの
パナソニックが2017年に、新しい「工場」を米シリコンバレーに開設したのをご存じだろうか。同社が「Panasonic β」と呼ぶ新組織は、宇宙船のような外観をした米Appleの新本社オフィスの向かいにあり、パナソニックによる「イノベーション量産化のマザー工場」と位置付けられている。
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量子コンピュータのスタートアップが続々、有力VCは数十億円を投じる
テクノロジーの進歩はスタートアップが牽引する――。近年のIT業界における傾向は、量子コンピュータ分野にも当てはまる。米国やカナダでは量子コンピュータのスタートアップが次々と現れ、大手IT企業に負けじと独自のハードウエア開発に乗り出している。
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Googleの最新スマホPixel 2をレビュー、AIが撮影者の意図を予測
米Googleの最新スマートフォン「Pixel 2」は日本での発売が未定のため全く注目されていないが、SIMカード要らずの「eSIM」や画像認識AI(人工知能)である「Googleレンズ」など、スマホの未来を感じさせる1台だ。実機によるレビューでその凄さに迫った。
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「量子超越性」に突き進むGoogleの野望
「2017年12月下旬から『量子超越性』の実証を開始する」――。米Googleと米カリフォルニア大学サンタバーバラ校で量子コンピュータの開発を率いるJohn Martinis氏はそう力説する。量子コンピュータに注ぐGoogleの野望を解き明かす。
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量子コンピュータを何に使うか、VWやゴールドマンサックスが明かす
欧米の有力企業が量子コンピュータのビジネス活用を本格的に検討し始めている。米シリコンバレーで2017年12月5、6日に開催された「Q2B Conference」には、独Volkswagen(VW)や米Goldman Sachs(GS)、欧州Airbusなどが登壇し、量子コンピュータへの期待を語った…
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AWSが米国で起こした二度目の「CIAショック」、政府システムも飲み込む
金融業を含む民間企業が業務システムをパブリッククラウドサービスの「Amazon Web Services(AWS)」で運用するのは、日本でも既に当たり前になった。日本の先を行く米国では、政府機関の業務システムのAWS移行が加速し始めている。
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AWSはなぜAIやブロックチェーンに冷たいのか
米Amazon Web Services(AWS)の年次イベント「AWS re:Invent」では、競合のイベントではよく耳にする「AI(人工知能)」と「ブロックチェーン」という2つの単語を聞くことがない。その理由を米Amazon.comのCTO(最高技術責任者)に直撃した。
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AWSが新しいEC2基盤、Nitroの正体
米Amazon Web Services(AWS)がIaaS「Amazon EC2」の基盤を全面刷新していた。新基盤「Nitro」は自社開発した専用ASICを採用することで、ネットワークやストレージの性能を大幅に強化した。クラウドの性能強化を独自ハードが担う時代になった。
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AWSも「惑星規模」のクラウドDB、GoogleやMSに追従
米Amazon Web Services(AWS)は2017年11月29日(米国時間)、データベース(DB)のクラウドサービスの機能を大幅に拡張した。リレーショナルDB(RDB)サービスの「Amazon Aurora」でデータセンターをまたいだマルチマスター構成を可能にしたほか、グラフDBのサービ…
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GEにIoTスタートアップを売却した、日本人連続起業家の歩み
米General Electric(GE)のデジタル事業部門、GE Digitalに買収された日本生まれのIoTスタートアップがある。社名はIQP Corporation。イスラエル人の夫と同社を起業したカプリンスキー真紀氏は「日本の起業家はもっとグローバル展開に挑戦してほしい」と語る。
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本当の営業活動は契約後に始まる、クラウドが変えた米ITベンダーのビジネス戦略
米国のITベンダーで、顧客サポートこそが最強の営業活動なのだという認識が広がっている。クラウドの普及によってITベンダーのビジネスが従来の「売り切り型」から「サブスクリプション(購読)型」へと変化したことが背景にある。それに伴いサポート部門の名称も変わり始めた。
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小型でも感情AIや画像認識を実現、ロボット「Cozmo」のからくり
米カーネギーメロン大学出身のロボット研究者が開発した玩具ロボット「Cozmo」が話題だ。子供だけでなく大人、特にAI(人工知能)やIoT(Internet of Things)に興味がある技術者や研究者も注目している。日本でも2017年9月にタカラトミーが販売を始めた。ほかの玩具ロボと何が違うのか…
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Apple出身者が作るAI調理家電、食材に最適なレシピを提案
シリコンバレーでは今、調理家電の世界でもAI(人工知能)革命が進行中だ。米Juneが販売する「June Intelligent Oven」は米NVIDIAのGPU(画像処理半導体)を搭載し、ディープラーニング(深層学習)ベースの画像認識AIが食材の種類や焼き加減を識別。プロ並みの調理を実現するとい…
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衛星写真で景気が分かる、米投資家が頼るAIスタートアップ
衛星写真を解析することで、原油生産量や小売業の客足などをいち早く割り出す――。米国の投資家はSF映画のような手法を駆使して投資判断をしている。彼らが頼るのはシリコンバレーのAI(人工知能)スタートアップ、米Orbital Insightだ。2017年11月に日本進出を発表した同社の凄さに迫ろう。
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ディープラーニングにもセキュリティ問題、AIをだます手口に注意
ディープラーニング(深層学習)にもセキュリティ問題が存在する。データからルールを導き出す「訓練」に使用するデータに不正なものを紛れ込ませたり、認識に用いるデータにある種のノイズを加えたりすることで、AI(人工知能)に誤検出させようとする。AIの信頼性に関わる問題だけに、米Googleなどが対策に動…
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ゲーム感覚で従業員が学べるクラウド、Salesforceが教育・研修を強化
米Salesforce.comが、従来とはかなり異なるPaaS(Platform as a Service)を発表した。従業員の教育・研修プラットフォームである「myTrailhead」だ。同社のMarc Benioff CEO(最高経営責任者)は「第4次産業革命を起こすイノベーターを育てることが…
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次は「分散AI」、英Armが示すITの将来像
ネットにつながる機器の数を2035年までに1兆個に――。壮大なビジョンを持つArmが、AI(人工知能)の新戦略を示した。機械学習のデータ処理を様々な機器に広く分担させる「分散AI」だ。
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インフラは怪物級?Microsoft Azure
メモリーを4テラバイト搭載するモンスターマシン、バックアップ専用の巨大ストレージ――。米Microsoftのクラウドサービス「Microsoft Azure」の内部は、従来型のデータセンターとは大きくかけ離れた姿に進化している。Azure部門のCTOが、その「凄い中身」の一端を明らかにした。
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16年ぶりに交代したGEの新CEO、前任者の産業IoT路線は継続
「経営者の80%が産業IoT(Internet of Things)は重要だと認識しているが、実際に取り組んでいる企業は8%に過ぎない。産業界の『デジタルギャップ』を解消する」。米General ElectricのJohn Flannery会長兼CEOは2017年10月25日から米サンフランシスコ…
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秘密主義で知られるApple、AI研究ではオープン化へ
内部の動きが分からない秘密主義――。そんな米Appleが「オープン」へと変わろうとしている。2017年から社内のAI(人工知能)研究者が社外に研究成果を公表することを認めただけでなく、シリコンバレーの著名AIシンポジウム「BayLearn」に会場を提供するまでになった。
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Linuxの扱いはWindows Serverとほぼ同格、Microsoftが対応強化
米Microsoftが「Linux」に関する取り組みをますます強化している。2017年9月下旬に開催した「Microsoft Ignite」では、クラウドサービス「Microsoft Azure」におけるLinux対応の強化を発表したほか、10月に出荷する「SQL Server 2017」の最大の…
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無名のBIツール、旬のスタートアップがこぞって採用する理由
日本では全くの無名だが、シリコンバレーでは米Lyftや米Squareなど旬のスタートアップがこぞって利用しているBI(Business Intelligence)ツールがある。米カリフォルニア州サンタクルーズに拠点を置くスタートアップの米Lookerが手掛ける製品だ。
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AIユニット搭載のiPhone X、指紋認証を廃止しFace IDへ
米Appleは「iPhone」10周年モデルである「iPhone X」に、これまでにないハードウエアを複数搭載した。有機ELディスプレイやワイヤレス充電もそうだが、より興味深いのは深度カメラの「TrueDepthカメラシステム」とAI専用ユニットの「ニューラルエンジン」だ。
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ARのトレンドは専用ハードから単眼式へ、Googleが「ARCore」で追従
現実の風景にCG(コンピュータグラフィックス)を合成するAR(拡張現実)が、間もなく数億台の既存スマートフォンやタブレットで利用可能になる。カギとなるのは1個のカメラでARを実現する「単眼式AR」だ。
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日本よりも欧米でヒット、日本人が生み出したJenkinsの勢い
CI(継続的インテグレーション)を実現するOSS(オープンソース・ソフトウエア)「Jenkins」の勢いが増している。開発元の米CloudBeesが2017年8月末に開催したイベントには800人の開発者が参加。米PayPalが4000人を対象にしたJenkinsの導入を発表するなど、大企業が戦略的…
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Oracleが産業IoTで新施策、GEに倣ってデジタルツイン
コンピュータ上に再現した産業機器と実際の機器のセンサーデータを使って機器の故障などを予測する「デジタルツイン」。米General Electric(GE)や独Siemensといった大手産業機器メーカーが掲げてきた、こうした産業IoTのコンセプトを、米Oracleが自社製品に取り入れ始めた。
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ロシア人窃盗犯「メガカーダー」が逮捕された理由
小売店などのPOSシステムにマルウエアを仕掛けては、合計170万件ものクレジットカード番号を盗んだとして、懲役27年の有罪判決が下ったロシア人ハッカーがいる。彼が有罪になった背景には、なんと「パスワードの使い回し」があった。
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サーバーレスはセキュアか?研究者が懸念する三つのポイント
アプリケーション開発者の間で人気が高まっている「サーバーレスアーキテクチャ」。サーバーの運用管理から解放される利便性は折り紙付きだが、果たして従来よりもセキュアなのだろうか。米国のセキュリティ研究者は「アプリケーションの認証設定には注意が必要だ」と警鐘を鳴らす。
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ドローンやVR機器は超音波に弱い、中国アリババの研究者が実証
ドローンの姿勢維持やVR(仮想現実)ヘッドセットの位置推定に欠かせない「加速度センサー」や「ジャイロセンサー」に、意外な弱点の存在が明らかになった。超音波だ。これらのデバイスに超音波を当てるとセンサーが計測を誤り、最悪の場合、外部から操られる恐れがある。
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Googleがランサムウエアの身代金ルートを追跡、月間1億円を“稼ぐ”ウイルスも
パソコンに感染してデータを暗号化し、身代金を要求する「ランサムウエア」。2016年から急増している身代金の支払いプロセスを米Googleが追跡したところ、27億円を超える身代金がロシア人が運営するビットコイン取引所で換金されていたことが判明した。同取引所の運営者は2017年7月に逮捕されている。
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存在感薄れつつあるビッグデータ処理ソフト「Spark」、深層学習で巻き返し
ビッグデータ処理のオープンソースソフトウエア(OSS)である「Apache Spark」のディープラーニング(深層学習)対応が進んでいる。Sparkの主要開発企業である米Databricksや米Intel、米Microsoft、米Verizon傘下の米Oath(旧Yahoo!)などが、Sparkの…
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電力インフラを襲うサイバー攻撃、ウクライナ停電事件は対岸の火事ではない
サイバー攻撃のターゲットがPCやサーバー、スマートフォンから社会インフラへと広がっている。2017年7月下旬に開催されたセキュリティカンファレンス「Black Hat 2017」では、発送電設備や風力発電所に存在する脆弱性がサイバー攻撃の標的になっている実情が明かされた。
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iPadやPCが久しぶりの復調、米IT大手の2017年4~6月期決算
長らく不振に陥っていた米Appleの「iPad」や米Intelのパソコン向け半導体が復調している。米IT大手が2016年7月末から8月頭にかけて発表した17年4~6月期決算では、各社の業績に力強さが増していることが分かる。
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データ分析の準備をAIで自動化、米GEのIoT基盤「Predix」
センサーデータを分析する際に最も手間がかかるのは、データの「種類」や「関係性」を見極める作業だ。米General Electric(GE)はインダストリアルIoT(Internet of Things)のプラットフォームである「Predix」に、こうした作業を自動化するAI(人工知能)を追加する。…
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こうしてTesla車を遠隔ハッキングした、中国Tencentが詳細を公開
米Tesla Motorsの「モデルS」に遠隔攻撃ができる脆弱性があることを発見した中国Tencentのセキュリティ研究者が2017年7月27日(米国時間)、開催中の「Black Hat 2017」でその手法の詳細を解説した。車載情報端末の脆弱性やファームウエアアップグレードの脆弱な仕組みが攻撃を…
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数千人の人員整理も?、米Microsoft営業部門再編の真相
2017年7月11日(米国時間)に開催された「Microsoft Inspire 2017」2日目の基調講演では、あるスライドが映し出されると来場者が一斉にスマートフォンのカメラを向け始めた。
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IOSを25年ぶりに全面刷新、米シスコ提唱の「直感ネットワーク」とは
ネットワークエンジニアの仕事を人工知能(AI)が置き換える──。ネットワーク機器大手の米シスコシステムズは2017年6月26〜28日に米国ラスベガスで開催したイベント「Cisco Live 2017」で、新しい企業ネットワークの仕組み「インチュイティブネットワーク」を発表した。
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アマゾン、生鮮スーパー1兆5000億円買収の勝算
米アマゾン・ドット・コムが137億ドル(約1兆5000億円)を投じる巨額買収で、ネット通販とリアル店舗を融合させるオムニチャネル戦略を加速する。買収するのは高級スーパーチェーンの米ホールフーズ・マーケット。生鮮食料品を即時配送して、アマゾンが力を注ぐ生鮮食品の宅配サービスを強化するとみられる。
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