「『Uber』や『Airbnb』は『シェアリングエコノミー』や『オンデマンドエコノミー』と呼ばれるようだが、言葉の定義はあるの」――。筆者に下に日本からそんな質問が届いた。最近では「ギグエコノミー」という言葉も登場している。これらのサービスの「呼び方」について考察しよう。

 これら言葉の中で最初に一般的になったのは「シェアリングエコノミー」だ。2008年に始まった自宅の空き部屋をホテルのように貸し出す「Airbnb」や、2010年に始まった自家用車をレンタカーとして貸し出す「RelayRides(現在のサービス名は「Turo」)」などが、「個人の資産をみんなでシェア(共有)するもの」だとして、そう呼ばれるようになった。

 シェアリングエコノミーという言葉を有名にしたのは、2010年に刊行された書籍「What's Mine Is Yours: The Rise of Collaborative Consumption(邦題:シェア <共有>からビジネスを生みだす新戦略)」(レイチェル・ボッツマン、ルー・ロジャース著)だった。当時は2007年の「リーマンショック」に端を発する深刻な不況期のただ中。遊休資産をシェアすることで社会全体の効率性が向上するとして、シェアリングエコノミーは肯定的に取り上げられていた。

2014年以降は「オンデマンド」が一般的に

 「オンデマンドエコノミー」は、2014年後半から米国のメディアで頻出するようになった言葉だ。様々な種類のサービスを、消費者がスマートフォンを使って必要な時に利用できるようになったことを指して、オンデマンド(需要に応じた)エコノミーと呼ばれるようになった。

 配車サービスの「Uber」や「Lyft」、買い物代行サービスの「Instacart」、フードデリバリーの「DoorDash」、街中のどこででも「バレットパーキング(係員が駐車をしてくれるサービス)」を利用可能にしてくれる「Luxe」、部屋掃除サービスの「Handy」などが代表的なオンデマンドエコノミーのサービスとなる。

写真1●大手ディスカウントストア「Target」の店頭の模様
写真1●大手ディスカウントストア「Target」の店頭の模様
「Instacart」が利用可能である旨が告知してある
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 例えば、買い物代行サービスのInstacartでは、消費者がスマートフォンアプリケーション(スマホアプリ)やWebサイトで買い物の依頼をすると、スマホアプリで注文を受け取ったInstacartの契約スタッフがユーザーの代わりにお店で買い物をして、商品を消費者の自宅に1時間以内に届けてくれる。写真1は筆者が住む米クパチーノ市にある大手ディスカウントストア「Target」の店頭の模様。この店舗でInstacartが利用できることをアピールしている。オンデマンドエコノミーのサービスは、シリコンバレーの人々にとって当たり前のサービスになり始めている。