オープンソースソフトウエア(OSS)の分散データベース(DB)である「Apache Cassandra」の人気が米国で急速に高まっている。データセンター(DC)に障害が発生しても処理を継続できる可用性の高さがユーザーの支持を集めている。

 Cassandraは最大で数千台のサーバーを連携して、数ペタバイトもの巨大なDBを運用できるという分散DBだ。サーバーは地理的に異なるDCに分散配置できるため、DC障害が発生した場合でも他のDCで処理を継続できる。

 もっとも従来は、大企業でもなければ複数DCを運用するのは困難だったため、Cassandraの人気は限定的だった。最近は「Amazon Web Services(AWS)」や「Microsoft Azure」といった世界中のDCが利用できるクラウドが登場したことから、スタートアップでもCassandraのメリットを享受できるようになり、人気が高まった。

 2015年9月22日から24日までシリコンバレーで開催されたイベント「Cassandra Summit 2015」には、前年の3倍となる6000人が参加した(写真1)。ここまでのブームとなった背景には、米Appleや米Netflixといった大口ユーザーの存在がある。

写真1●「Cassandra Summit 2015」の会場風景
写真1●「Cassandra Summit 2015」の会場風景
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 Appleは2014年、7万5000台ものサーバーを使ってCassandraを運用し、「iCloud」などの基盤として使用していることを公表。今回のイベントでは、Cassandraのサーバー台数が10万台以上になったことを明らかにしている。

 Netflixの動画サービスは、AWS上で稼働するCassandraが支えている。AWSでは最近、DC単位での障害が何度か発生している。しかし、NetflixはCassandraをAWSの複数DCで稼働しているため、AWSがダウンしてもNetflixのサービスは止まっていない。