「Oracle OpenWorld」の名物と言えば、米OracleのLarry Ellison会長兼CTO(最高技術責任者、写真1)が基調講演で繰り広げる、競合他社への挑戦的な言動だ。今回のターゲットは、米Amazon Web Services(AWS)ただ1社。2016年9月20日(米国時間)に実施したデータベース(DB)に関する基調講演でも、ひたすらAWSへの対抗心をあらわにした。

写真1●米OracleのLarry Ellison会長
写真1●米OracleのLarry Ellison会長
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 Ellison会長は「Oracle OpenWorld 2016」開催初日の9月18日(米国時間)に行ったクラウドに関する基調講演でも、AWSに対して価格競争を仕掛けると発言している(関連記事:「AWSは尊敬しているが価格では負けない」、米OracleのEllison会長)。18日の基調講演では「チャットボット」などの発表もあったが、今回の基調講演では時間のほとんどを、Oracleが提供するDBのクラウドサービスと、AWSのDBサービスとの比較に当てるという徹底ぶりだった。

 Ellison会長は基調講演で、「『Oracle Cloud Platform(OCP)』は『Oracle Database(DB)』に最適化されているのに対して、AWSはそうではない」と主張。Oracle DBを稼働する環境としてOracleのクラウドが向いているとした(写真2)。

写真2●AWSはOracle DBに最適化されていないと語るEllison会長
写真2●AWSはOracle DBに最適化されていないと語るEllison会長
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 さらにEllison会長は同社が実施したベンチマークなどを持ち出して、Oracleが提供する各種DBサービス(Database as a Service)が、AWSのデータウエアハウスのサービスである「Amazon Redshift」や、リレーショナルデータベース(RDB)のサービスである「Amazon Aurora」よりもパフォーマンスに優れ、コストが安価であるとアピールした。

 Oracleは今回、三つのベンチマークを実施。どちらのクラウドがOracle DBに向いているかを比較する「Oracle DB at Oracle Cloud Platform(OCP) vs Oracle DB at AWS」と、データウエアハウスとしての性能を比較する「Oracle DB at OCP vs Amazon Redshift」、トランザクション性能を比較する「Oracle DB at OCP vs Amazon Aurora」において、いずれもOracle側がAWSに勝利したと主張した。ベンチマーク結果はWebで公開するとした(発表文)。

切り札は「Exadata Express」、月額175ドルから

 Ellison会長はコスト面でもOracle側が優れると主張した。Ellison会長が強調したのは、Oracleが同日発表した新しいDBサービス「Exadata Express Cloud Service」の存在。OracleのDB専用機「Exadata」を同社のクラウド上で稼働し、ユーザーにはExadata上のDBパーティションを割り当てる。料金は月額175ドルからで、これで最大20GバイトのDBを運用できる。同一構成でAmazon Auroraの月額245ドルよりも低コストだと主張した。