長く不振に陥っていた米Appleの「iPad」や米Intelのパソコン向け半導体といった事業が復調している。米IT大手が2016年7月末から8月頭にかけて発表した17年4~6月期決算では、各社の業績に力強さが増していることが分かる(表1)。
企業名 | 売上高 | 純利益 *1 | 時価総額 *2 |
---|---|---|---|
Apple | 454億800万(7.2%) | 87億1700万(11.8%) | 8231億 |
Alphabet | 260億100万(21.0%) | 35億2400万(▲27.7%) | 6498億 |
Microsoft | 233億1700万(13.1%) | 65億1300万(108.6%) | 5563億 |
93億2100万(44.8%) | 38億9400万(70.6%) | 4905億 | |
Amazon.com | 379億5500万(24.8%) | 1億9700万(▲77.0%) | 4783億 |
(AWS) | 41億(42.1%) | 9億1600万(27.6%) | - |
Intel | 147億6300万(9.1%) | 28億800万(111.1%) | 1717億 |
IBM | 192億8900万(▲4.7%) | 23億3100万(▲6.9%) | 1346億 |
Qualcomm | 53億7100万(▲11.1%) | 8億6600万(▲40.0%) | 785億 |
Western Digital | 48億4200万(38.5%) | 2億8000万(黒字転換) | 246億 |
AMD | 12億2200万(19.0%) | ▲1600万(-) | 126億 |
17年4~6月期決算のサプライズはAppleのiPadが売上高、出荷台数共に前年同期を上回ったことだ(表2)。同期のiPadの売上高は1.9%、出荷台数は14.8%、それぞれ増加している。iPadの出荷台数は14年1~3月期以来、13四半期連続で減少が続いていた。
製品 | 売上高 | 出荷台数 |
---|---|---|
iPhone | 248億4600万ドル(3.3%) | 4102万6000台(1.6%) |
iPad | 49億6900万ドル(1.9%) | 1142万4000台(14.8%) |
Mac | 55億9200万ドル(6.7%) | 429万2000台(0.9%) |
サービス | 72億6600万ドル(21.6%) | - |
その他製品 | 27億3500万ドル(23.3%) | - |
Appleは2017年3月に、従来モデルよりも1万円ほど安い新型の「iPad」を発売しており、これが出荷台数を復調させる要因となった。AppleのTim Cook CEO(最高経営責任者)は決算発表時の電話会見で、iPadが教育市場で好調だったと語った。教育市場は米Googleの「Chromebook」が非常に好調な分野であり、Googleへの対抗心を見せた。
中国で苦戦するApple、VPNソフト削除やDC建設の動きも
Appleの全社売上高は454億800万ドル(同7.2%増)、純利益は87億1700万ドル(同11.8%増)と好調だった。地域別売上高は米州(Americas)が同13%増、欧州が11%増、日本が同3%増、中国と日本を除くアジア太平洋が同15%増だった。
Appleにとっての懸念材料は、中国圏(Greater China)の売上高が同10%減少していることだ。中国のスマートフォン市場はHuawei、OPPO、vivoなどの地場メーカーが好調で、Appleは苦戦が続いている。Appleは7月末に、中国政府の規制に従い中国の「App Store」からVPNソフトを削除した。7月12日には「iCloud」のデータセンターを中国に建設することを発表している。中国の法規制に従う姿勢が、中国市場における巻き返しにつながるのか。Appleの中国における動きは今後も注目を浴びそうだ。
IntelはPC向けが好調
米Intelの17年4~6月期決算でも、不振が続いていたパソコン向け半導体が復調した。「クライアント・コンピューティング・グループ」の売上高は82億1300万ドルで前年同期比11.9%増加。ノートパソコン向けを中心に出荷数が同3%増加し、製品単価も同8%上昇した。Intelのパソコン向け半導体の出荷数は2015年4~6月期以来、8四半期連続で前年を下回っており、2年ぶりに復調を果たした。クライアント・コンピューティング・グループの営業利益は30億2500万ドルで、同58.2%増加している。
Intelの「データ・センター・グループ」は売上高は43億7200万ドル(同8.5%増)、営業利益は16億6100万ドル(同5.8%減)。データセンター向け半導体事業は減益となったが、パソコン向け半導体事業が大きく増益となったため、全社の純利益は同111.1%増と、2倍以上に伸びた。