米Microsoftの営業方針が、大きく変わり始めている。売上高の92%を間接販売が占めるMicrosoftが2015年7月、全世界のパートナーに対して「クラウドシフト」を号令した。日本マイクロソフトの平野拓也社長は「ライセンス販売から決別する」と語る。

 パートナー向けの営業施策の変更は、2015年7月12日から16日まで米フロリダ州オーランドで開催した「Microsoft Worldwide Partner Conference 2015(WPC 2015)」で発表した。同社のCOO(最高執行責任者)であるKevin Turner氏は世界中から集まる販売パートナーに対して、ソフトウエアライセンスの販売からクラウドサービスの販売へと移行するよう、強く訴えた(写真1)。

写真1●米MicrosoftのKevin Turner COO(最高執行責任者)
写真1●米MicrosoftのKevin Turner COO(最高執行責任者)
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 パートナーのクラウドシフトを加速するため、売上高に応じてパートナーに支払うインセンティブ(販売奨励金)も大幅に変更する。Microsoftがパートナーに支払ったインセンティブ総額に占めるクラウド関連インセンティブの割合は、2013会計年度が10%、14年度が19%、15年度が32%だったのに対して、16年度は49%にまで増やす。販売パートナーにとっては、クラウド以外のソフトウエアライセンス販売を続けていては、Microsoftからこれまでのようにはインセンティブを得られなくなることを意味する。

クラウドの間接販売モデルを変更

 クラウドの間接販売モデルも大きく変更する。Microsoftのパートナーは従来、クラウドサービスの「年間使用権」しか販売できなかったが、今後は月単位の従量課金モデルでクラウドサービスを間接販売できるようになる。間接販売の対象も、従来の「Office 365」から、「Microsoft Azure」や「Dynamics CRM」などにも広げる。月単位でクラウドを間接販売するプログラムの名称は「Cloud Solution Provider Program」という。

 Microsoftは従来、クラウドサービスをソフトウエアライセンスと同じやり方で販売していた。つまり、パートナーが販売するのはソフトウエアライセンスと同じ「年間使用権」であり、インセンティブも年間使用権の販売金額に応じて支払われていた。それが今後は、パートナーはユーザー企業に対して月単位でクラウドサービスを販売する。インセンティブも、ユーザー企業によるクラウドサービスの利用量に応じて支払われる。