写真1●Google FellowのAmin Vahdat氏
写真1●Google FellowのAmin Vahdat氏
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 米Googleはネットワークスイッチを自社で開発している――。長年IT業界でささやかれていた噂を、Googleがついに認めた。2015年6月14日から18日まで米カリフォルニア州サンタクララ市で開催された「Open Networking Summit 2015」の基調講演で、同社のFellowであるAmin Vahdat氏が公表した(写真1)。

 同社がネットワークスイッチを初めて自作したのは2005年。現在Googleのデータセンター(DC)で使用する「Jupiter」スイッチは5代目に当たるという(写真2)。世界でも最大規模のデータセンターを構築・運用しているGoogleが、ネットワークスイッチをネットワーク機器ベンダーから購入せずに、自社で大量に生産しているという噂は、2007年頃から業界でささやかれていた。その噂をGoogleが公式に認めたのは、今回が初めてのことである。

写真2●Googleが2012年に開発した「Jupiter」スイッチ
写真2●Googleが2012年に開発した「Jupiter」スイッチ
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 「既存のネットワーク製品では、GoogleがDCネットワークに求める要求を満たすことができなかった」。GoogleのVahdat氏は、同社がネットワークスイッチの自社開発を始めた理由をこのように語る。

ネットワークも「スケールアウト」

 2005年当時、広帯域のDCネットワークを実現するには、ネットワーク機器ベンダーが販売する高価な大型スイッチを導入する必要があった。それに対してGoogleは、安価な小型スイッチを大量に導入することでネットワークの帯域を広げる「スケールアウト」の手法を採用しようと考えた。そのために必要となるネットワークスイッチを、自社で開発したという。

 写真3が、現在Googleが構築している、スケールアウト型のDCネットワークの構造だ。サーバーの通信は、サーバーラックごとに設置された「ToR(Top of Rack)スイッチ」に集約され、ToRスイッチの通信は上位にある「アグリゲーションスイッチ」(図ではEdge Aggregation Block)に集約される。

写真3●Googleのファブリックネットワークの構成
写真3●Googleのファブリックネットワークの構成
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 従来型のネットワークは、多数のアグリゲーションスイッチの通信が少数の「コアスイッチ」に集約される「ツリー」型になる。しかしGoogleのネットワークでは、多数のアグリゲーションスイッチと多数の「スパインスイッチ」(図ではSpine Block)とがメッシュ状に接続してあり、いわゆる「ファブリックネットワーク」が構築されている。